長崎県の「秋の風景シリーズ」、今回は県中部と雲仙市で紅葉や秋の花が鑑賞できるスポットを紹介します。
「妙見岳」では広範囲に渡る紅葉が楽しめ、「三十路苑」では優雅な紅葉が鑑賞できます。そして「鉢巻山」ではヒガンバナが、また、「白木峰高原」ではコスモスが秋の風景を演出してくれます。さっそく出かけてみましょう!
雲仙の妙見岳は広範囲に紅葉の見られる所として知られています。標高1333メートルの妙見岳の紅葉は、ふもとの仁田峠(にたとうげ)から見るだけでも楽しめますが、他にも4つの楽しみ方があります。
まず最初は、仁田峠の駐車場からすぐ、妙見岳と対面する位置にある「野岳展望台」からの眺めです。この展望台に立つと仁田峠を初め、ロープウェイや妙見岳、普賢岳など周辺の山々が見渡せ、こうした風景を1枚の写真に収めることができます。
次は、仁田峠から出ているロープウェイに乗ります。ゴンドラの中から妙見岳の紅葉を間近に見ることができます。ゴンドラには大きな窓が取り付けられているので足元近くの紅葉も楽しめます。
3番目の楽しみ方、それはロープウェイの終点、妙見岳山頂から紅葉を眺める方法です。山頂には展望所があり、そこに立つと周辺の山々や島原半島の街々が見え、天気の良い日には遠くに長崎市や熊本・天草の風景が見渡せます。
そして最後の楽しみ方は、妙見岳を歩いて仁田峠まで登山道を下って行く方法です。所要時間は約20分。
どうでしょう。妙見岳の紅葉が満喫できそうですか。ただ、妙見岳の紅葉狩りは大変混みあいますから、他の人のことも考慮して、全体で1時間くらいを目安に終わらせるのがエチケットでしょう。妙見岳の紅葉の見頃は10月下旬~11月上旬です。
©長崎県観光連盟
仁田峠から出ているロープウェイに乗ると妙見岳の紅葉が間近に見えます。
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妙見岳山頂の紅葉
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妙見岳展望所からは紅葉だけでなく、島原半島も見渡せます。
島原半島雲仙市にある「三十路苑」。三十路苑は、この地域の郷土料理として知られている「ろくべえ」の元祖「六兵衛茶屋」の経営者が自宅の裏山にモミジを植えだしたのがきっかけで、約30年の年月を掛けて築き上げられた庭園です。
島原地域では1792年、「島原大変」と呼ばれる大災害が発生し、食べるものがなくなり、人々は飢えに苦しむようになりました。その時、六兵衛という人が飢えをしのぐためにサツマイモの粉でうどんを作ることを考え出したのです。これが郷土料理「ろくべえ」の始まりです。
さて、三十路苑のことに戻りましょう。約8000坪(約26400平方メートル)の広さのある三十路苑の庭園は経営者の自宅の裏山を整備したもので、ここには約1000本のモミジが植えられています。三十路苑は先に紹介した妙見岳と比べると標高が約1000メートル低い所にあるので、紅葉の時期も遅く、見頃は11月中旬から12月初旬になります。この時期、夜には、紅葉がライトアップされ、昼間とは違った幻想的な雰囲気の中で紅葉を楽しむことができます。
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「六兵衛茶屋」の経営者が築いた三十路苑
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広い庭園には約1000本のモミジが植えられています。
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三十路苑の見頃は11月中旬から12月初旬です。
長崎県の中央にある大村市。その市の海岸寄りにある鉢巻山は、秋になるとヒガンバナの群生が花開く所として知られています。その数100万本。ヒガンバナは鉢巻山の山頂にある展望所周辺を埋め尽くすようにして開花します。その光景は実に見事です。
普通ヒガンバナというと、赤い花を想像すると思いますが、鉢巻山では、白とクリーム色のヒガンバナも開花します。最初に咲くのは白、そしてクリーム色、最後に赤いヒガンバナが咲きます。このように咲く時期が少しずつずれているので、3色のヒガンバナを全部いっしょに眺めることは難しいかもしれません。あとは運任せですね。
鉢巻山の展望所付近には東屋やベンチがあるので、お弁当を持って行けばピクニックが楽しめます。そして展望所からは大村湾が一望。ヒガンバナの観賞と併せて、その素晴らしい展望もぜひ満喫してください。
鉢巻山のヒガンバナの見頃は9月中旬から下旬です。
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鉢巻山の山頂を埋め尽くすヒガンバナ
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鉢巻山の展望所
白木峰高原は諫早市北部にある標高330メートルの丘陵です。高原には斜面にコスモスが約20万本植えられており、秋になると、白、ピンク、赤などのコスモスが開花します。見頃は10月上旬〜11月上旬。高原内ではコスモスの植えられているエリアを散策したり、芝生に座って風景を眺めたり、ピクニックを楽しんだりすることができます。特に高原の高見から眺める風景は格別です。
花を愛でた後は、白木峰高原近くにある「コスモス花宇宙館」に足を運びましょう。館内では常設展としてコスモスの絵が展示されています。これらのコスモスの絵は、諫早市出身の荒木幸史画伯によるものです。コスモスの可憐な姿が詩情あるれるタッチで描かれています。
また、コスモス花宇宙観の隣には、「諫早こどもの城」もあります。ここは子どもたちがのびのび遊べるようなスペースが広がり冒険を楽しむことができる場所です。
雲仙市と県中部で「秋の風景」が楽しめる名所を4カ所紹介しました。雲仙市の仁田峠から妙見岳に広がるスケールの大きな紅葉の風景、良く手入れされた三十路苑の美しいモミジ、そして大村市鉢巻山のヒガンバナや諫早市の白木峰高原に咲くコスモス。ぜひ出かけて秋の風景を満喫してください。
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白木峰高原には約20万本のコスモスが植えられています。
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高原の高見に立つとコスモスの群の向こうに素晴らしい風景が見えます。
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白木峰高原近くにあるコスモス花宇宙館ではコスモスの花の絵が展示されています。
写真提供:長崎県観光連盟
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。
掲載日:
2020/10/05
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
【仁田峠】〒854-0621 雲仙市小浜町雲仙
【三十路苑】〒854-0511 長崎県雲仙市小浜町南木指1870-4
【鉢巻山】〒856-0003 長崎県大村市野岳町
【白木峰高原】〒859-0307 長崎県諫早市白木峰町