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火山活動の跡が目の前に広がる「九州オルレ 島原コース」を歩いてみよう!

「九州オルレ」とは、五感で自然を感じながら、九州各地の散策コースを歩こうというプロジェクトです。「オルレ」は、韓国の済州島(さいしゅうとう)の言葉で、「通りから家に通じる狭い路地」を意味します。その言葉がやがて「トレッキングコース」という意味で使われるようになり、最初は韓国で広がり、次に日本でも使われるようになりました。現在、九州オルレとして21のコースが用意されており、長崎県では「島原コース」と「南島原コース」の2つのコースを歩くことができます。今回は島原コースを紹介したいと思います。

島原コースは「火山」をテーマとして平成新山の周辺を歩くコースです。全長10.5キロ、所要時間3.5~4時間。スタートは、島原港ターミナルです。ターミナルを後に次の目的地「秩父が浦公園(ちちぶがうらこうえん)」に進みます。
秩父が浦公園は島原港の南に作られた公園です。1792年、眉山(まゆやま)が崩壊し土砂が島原の町にまで流れ、さらにそこから海の中にも流れ込みました。結果として、島原湾にたくさんの小さな島ができました。これらの島は、まとめて「九十九島(つくもじま)」と呼ばれています。このエリアは後に秩父が浦公園として開発され、園内には遊具やベンチが置かれています。秩父が浦公園は、その美しさから島原半島県立公園に指定されています。

  • ©島原市・九州オルレ
    島原コースのスタート地点「島原港ターミナル」

  • ©島原市・九州オルレ
    眉山が崩壊した時に流れて来た土砂の跡に作られた秩父が浦公園

  • ©島原市・九州オルレ
    島原湾に浮かぶ九十九島

九州オルレの島原コースでは、秩父が浦公園の次にオプションとして、雲仙岳災害記念館「がまだすドーム」が入っています。スケジュールに余裕がある場合はぜひ訪ねてみてください。
がまだすドームに行かない場合は、秩父が浦公園から南に約2キロほど行った所にある「われん川」が次の目的地になります。われん川は島原市の「水無川」の下流の部分に付けられた名前です。1792年に起きた噴火によって、この地域の地面が割れ、そこから湧水が出るようになり川が形成されました。ところが1991年、再び雲仙岳の噴火によって、土石流がわれん川にも流れ込み大きな被害をもたらしました。幸いなことに、湧水の水源は土石流に埋められることなく残りました。その後地元の人たちは、水路を改修したり周りの道路を整備したりしてわれん川を維持してきました。そのおかげでわれん川周辺は、地域の憩いの場、また子ども達の学習の場として利用されています。

  • ©島原市・九州オルレ
    今でも湧水が流れている、われん川

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    われん川とその周辺は地元の人たちによって整備・維持されてきました。

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    われん川付近の風景

1990年に始まった雲仙岳の噴火は約5年間続きましたが、1993年に発生した火砕流は規模が大きく、その流れは山頂から約5.6キロの所にまで到達しました。それが国道57号線を80メートルほど超えた南島原市との市境にある地点です。正式には南島原市に属します。この地点は「火砕流最長到達地点」として認識され、現在はそのように書かれた支柱が建てられています。また、辺り一帯は「ふかえ桜パーク」として整備されています。

さくらパークを後に次の目的地「吉祥白天橋」に進みましょう。この橋は草原の上に架けられた橋ですが地図の上ではわれん川の上流にあたり、水無川という名前が付けられています。水無川は以前火山が噴火した時に火砕流や土石流が流れた所です。吉祥白天橋では、そこから見える風景を楽しみましょう。橋の西側には平成新山がそびえ立ち、東側にはわれん川大橋、そしてその向こうに島原湾が広がっています。

  • ©島原市・九州オルレ
    火砕流最長到達地点

  • ©島原市・九州オルレ
    吉祥白天橋の西側に見える平成新山

  • ©島原市・九州オルレ
    橋の東側にはわれん川大橋とその向こうに広がる島原湾が見えます。

「仁田団地」は雲仙岳の麓に作られた団地です。1991年に起きた雲仙普賢岳の噴火によって、被害にあった人々などが暮らせるように建築されたもので、団地には第一から第三まで、公園が3つあります。その内、第一公園には、この噴火によって亡くなった方々の冥福を祈るために追悼碑が建てられており、毎年6月3日の「いのりの日」には追悼式が開かれます。仁田団地第一公園の展望所からは、江戸時代に眉山が崩壊した時の土砂流の跡を観察することができます。

  • ©島原市・九州オルレ
    仁田町には噴火の被害を受けた人々のために団地が作られました。

  • ©島原市・九州オルレ
    仁田団地第一公園では毎年6月3日に追悼式が開かれます。

  • ©島原市・九州オルレ
    第一公園からは土石流の跡や島原湾の風景が眺望できます。

九州オルレの島原コースも終わりに近づいてきました。最後のスポットは「ひょうたん池公園」です。この公園は1792年の眉山大崩壊の時に流れて来た土砂によってできた小山の上に作られています。園内にはひょうたんの形をした池があり、ひょうたん池と呼ばれています。池の周りには広いエリアに芝生が植えられ、遊具が置かれています。また、なだらかな傾斜の付いた歩道を利用して散歩やランニングを楽しむことができます。

九州オルレ・島原コースいかがでしたか。約10.5キロのこのコースでは、美しい風景をながめながら、かつて起こった火山活動の跡を見学・観察することができ、同時に島原市の素晴らしい風景も堪能できます。
九州オルレの各コースの通過点には赤と青の標識やリボンが配置され、道案内をしてくれます。後でコースを歩く人が困らないよう、こうした標識を壊したり、リボンを取ったりしないよう注意して散策を楽しみましょう。オルレの詳しい内容については公式サイトで確認してください。

  • ©島原市・九州オルレ
    眉山の土石流でできた小山に作られたひょうたん池公園

  • ©島原市・九州オルレ
    ひょうたん池の周辺には遊具が置かれています。

  • ©島原市・九州オルレ
    なだらかな傾斜のある歩道は散策やランニングに最適です。

写真提供:島原市・九州オルレ
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。

掲載日: 2021/04/12
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
島原港ターミナル、秩父が浦公園、われん川大橋、ふかえ桜パーク、吉祥白天橋、仁田団地第一公園、ひょうたん池公園
TEL
0957-63-1111(島原市しまばら観光おもてなし課 観光・ジオパーク班)
住所
【島原港ターミナル】〒855-0861 長崎県島原市下川尻町7-5
【秩父が浦公園】〒855-0864 長崎県島原市秩父ケ浦町丁3543-29
【われん川大橋】〒855-0874 長崎県島原市鎌田町
【ふかえ桜パーク】〒859-1504 長崎県南島原市深江町丁
【吉祥白天橋】〒855-0885 長崎県島原市白谷町
【仁田団地第一公園】〒855-0884 長崎県島原市仁田町乙1845
【ひょうたん池公園】〒855-0866 長崎県島原市南下川尻

【島原港ターミナル】〒855-0861 長崎県島原市下川尻町7-5

【秩父が浦公園】〒855-0864 長崎県島原市秩父ケ浦町丁3543-29

【われん川大橋】〒855-0874 長崎県島原市鎌田町

【ふかえ桜パーク】〒859-1504 長崎県南島原市深江町丁

【吉祥白天橋】〒855-0885 長崎県島原市白谷町

【仁田団地第一公園】〒855-0884 長崎県島原市仁田町乙1845

【ひょうたん池公園】〒855-0866 長崎県島原市南下川尻

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
【スタート・島原港ターミナル】あり
【フィニッシュ・ひょうたん池公園】あり
営業時間
定休日
対象年齢
全年齢
料金
無料
アクセス
【島原港ターミナル】島原鉄道の島原港駅から徒歩約3分
公式サイト
九州オルレ 島原コース https://kyushuolle.welcomekyushu.jp/courses/detail/fde488ed-56c7-47ca-a2b0-f1e24b9ae6c5
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