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冒険 087

石畳の坂道や洋館が並ぶ長崎居留地を「オランダ人」になったつもりで歩いてみよう!

「歩くほど不思議の街に迷い込む」と言われている長崎。現在でも、幕末に日本が開国した後、外国人が多く住んでいた「居留地」の名残が数多く残されています。今回は、かつての外国人の住居エリア、長崎港を臨む「東山手町」から「大浦町」までを散策するコースをご紹介します。

スタートは東山手町にある「オランダ坂」です。長崎には坂がたくさんあるので、このオランダ坂も形の上では他の坂と同じ。でも違っているのは、昔ここのエリアに住んでいた外国人が歩いた坂であることです。ではなぜオランダ?と思うかもしれませんね。それはその頃は西洋人のことをすべて「オランダ人」と呼んでいたからなんです。そのため昔はこのエリアの坂は全部「オランダ坂」と呼ばれていたそうです。でも今では「活水学院」近くにある坂を特に「オランダ坂」と呼んでいます。

  • 「オランダ坂」の標識が見える
    ©長崎県観光連盟

  • 昔「オランダ人」が歩いていた

オランダ坂をそのまま少し歩いて行くと見えてくるのが、国の重要文化財に指定されている「東山手十二番館」。明治元年にアメリカ人によって建設された建物です。当時はロシア領事館として使われていました。その後アメリカ領事館として使われたり、メソジスト派宣教師の住宅として使われました。今は「旧居留地私学歴史資料館」になっていて、歴史的な資料を展示しています。建物は洋風の木造建築。中に入って当時の領事館だった頃の面影を探してみましょう。

  • 長崎市東山手地区に現存する洋館としては最も古い建物。
    ©長崎県観光連盟

  • 庭の桜も美しい
    ©長崎県観光連盟

  • 建物正面にある広いテラスも素敵
    ©長崎県観光連盟

次の見所は「東山手洋風住宅群」です。ここには「オランダ人」と呼ばれていた西洋人達の住んでいた住居7棟が残っています。白壁にグレーの瓦屋根のある1階建てと2階建ての建物が建っています。どの建物も同じような建築様式をもっているので、団地のように計画的に作られた建物だと考えられています。現在立っている建物は1980年代に改築されたものです。7棟の内6棟は東山手地区町並み保存センターや古写真・埋蔵資料館、そしてワールドフーズレストラン東山手「地球館」として使われています。

  • 同じ様式の白い建物が並ぶ
    ©長崎県観光連盟

  • 近くで見るとこんな感じ
    ©長崎県観光連盟

  • 領事館だった頃の面影が残る
    ©長崎県観光連盟

東山手洋風住宅群を後に石橋電停の方に向かって坂を降ります。石橋電停までは歩いて約3分。石橋電停からさらに南に5分歩くと、グラバースカイロードに着きます。グラバースカイロードは斜行エレベーター。高台にある大浦地区に行くには大変便利です。移動中は、エレベーターの途中に取付けられた丸窓から遠くの景色を見るのを忘れないでくださいね。長崎のシンボルである長崎港と稲佐山の美しい風景が見えます。グラバースカイロードを降りるとグラバー園の第2ゲートに着きますが、グラバー園は別の機会に。すぐ近くにある「南山手レストハウス」に行きましょう。ここも昔は居留していた外国人の住宅でしたが今ではその名の通りちょっとした休憩所になっています。

  • グラバースカイロード

  • 丸窓からの風景
    ©長崎県観光連盟

  • 南山手レストハウス
    ©長崎県観光連盟

さて南山手レストハウスを出ると、目指す大浦天主堂はすぐ目の前。路地のような細い祈念坂をぐるっと回って天主堂の正面に出ましょう。大浦天主堂は1865年フランス人宣教師が、長崎に居留する西洋人のために設計して建てた日本最古の木造の教会。白いマリア像と美しいステンドグラスが印象的です。日本の国宝であると同時に2018年ユネスコに登録された世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つになっています。大浦天主堂は、長崎に居留していた当時の西洋人達の心のよりどころとなっていましたが、同時に「隠れキリシタン」の心の支えにもなっていました。隠れキリシタンとは、キリスト教が禁止されていた江戸時代にキリスト教をひそかに信仰していた人々のことです。
(注:写真撮影・掲載に当たっては大司教区の許可をいただいています。)

今回紹介したコースはゆっくり歩いても1時間〜2時間程度。短い時間で昔の居留地の住人になったつもりでちょっとしたタイムスリップ気分を味わってみてはいかがでしょうか?

文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。

  • 大浦天主堂の前景

  • 大浦天主堂のマリア像
    ©長崎県観光連盟

  • 信徒発見記念の碑
    ©長崎県観光連盟

掲載日: 2019/02/12
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
長崎居留地周辺を散策
TEL
095-822-8888 (長崎市あじさいコール)
095-829-1193 (長崎市文化財課)
095-823-2628 (大浦天主堂)
住所
【オランダ坂】〒850-0911 長崎県長崎市東山手町3
【東山手洋風住宅群】〒850-0911 長崎県長崎市東山手町6番25号ほか
【大浦天主堂】〒850-0931 長崎県長崎市南山手町5-3

【オランダ坂】〒850-0911 長崎県長崎市東山手町3

【東山手洋風住宅群】〒850-0911 長崎県長崎市東山手町6番25号ほか

【大浦天主堂】〒850-0931 長崎県長崎市南山手町5-3

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
なし
営業時間
【東山手洋風住宅群】9:00~17:00(古写真資料館・埋蔵資料館)
【大浦天主堂】8:00〜18:00(最終入館は30分前まで)
定休日
【東山手洋風住宅群】月曜日(祝日の場合は開館)、12月29日~1月3日
【大浦天主堂】教会行事により休館する場合があります
対象年齢
全年齢
料金
【東山手洋風住宅群】大人100円 小・中学生50円(古写真・埋蔵資料館)
【大浦天主堂】大人1,000円/中高生400円/小学生300円
アクセス
【オランダ坂】路面電車の「メディカルセンター」電停下車 徒歩4分
【東山手洋風住宅群】路面電車「石橋」電停下車 徒歩4分
【大浦天主堂】路面電車「大浦天主堂」電停下車、徒歩5分
公式サイト
オランダ坂 https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/105/
東山手洋風住宅群 https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/86/
大浦天主堂 https://nagasaki-oura-church.jp/
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