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龍が舞い、船が回る!秋の大祭・長崎くんちを堪能しよう!

「長崎くんち」は、毎年10月7日から9日にかけて長崎市で行われるお祭りです。「くんち」というのは、九州北部で「秋祭」を意味する言葉。九州3大秋祭りの一つにもなっているこのお祭りは約380年の伝統を持ち、奉納踊は国の重要無形民俗文化財に指定されています。外国の影響を色濃く受けた長崎くんちでは、地元日本の文化はもちろんのこと、ポルトガル、オランダ、中国など外国文化の要素を取り入れた奉納踊も披露されます。お祭りが始まったら出かけてみましょう!

長崎くんちは、正確に言うと、長崎市上西山町にある諏訪神社の祭礼行事です。1634年に2人の遊女がこの神社の神前に謡曲を奉納したのですが、それをきっかけにこのお祭りが始まったと言われています。
奉納踊りには日本古来の伝統的な日本舞踊を初め、国際色豊かな演し物などがあります。奉納踊りが行われる踊場(おどりば)は、諏訪神社、八坂神社、そして賑町の中央公園とお旅所の4カ所。どれも有料です。また、市内の事業所や個人宅に踊りを呈上する「庭先周り」の様子は、無料で見ることができます。

  • ©長崎県観光連盟
    長崎くんちは諏訪神社のお祭り。

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    鍛冶屋町にある八坂神社も踊場の会場です。

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    もう一つの踊場の会場は賑町の中央公園です。

長崎くんちの目的は「踊りを神社に奉納すること」です。そのため諏訪神社の氏子にあたる長崎市内の町を7つの組に分け、毎年担当する組に入っている町が奉納踊りを披露することになっています。つまりそれぞれの町には7年に1回、踊りを担当する順番が回ってくるのです。この町のことを「踊り町(おどりちょう)」と呼んでいます。各踊り町には「傘鉾(かさぼこ)」と呼ばれるその町のシンボルがあり、その町にちなんだ飾りが施されています。

長崎くんちではオランダや中国などの外国の文化を象徴する踊りも披露しますが、日本の文化では「本踊り」や山車「太鼓山(たいこやま)」があります。ちなみに樺島町の太鼓山は、「コッコデショ」とも呼ばれます。これは山車を担ぐときの掛け声から来ているそうです。

このようにいろいろな種類のある奉納踊りですが、それぞれの町が継承している踊りが違うので、年によって披露されるものが変わるのが特徴です。

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    踊り町には、「傘鉾(かさぼこ)」と呼ばれるその町のシンボルがあります。

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    「本踊り」と呼ばれる日本舞踊

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    ダイナミックな樺島町の「コッコデショ」正式名は「太鼓山」

長崎くんちでポルトガルやオランダなどの文化を表す演し物には、「南蛮船」、「御朱印船」、「阿蘭陀万歳」などがあります。

銅座町の南蛮船は貿易のために来航したポルトガルの船をイメージしていて、先曳(さきびき)と呼ばれる、船を先導する町内の子どもたちの行列は、南蛮人の格好をしています。

本石灰町の「御朱印船」は朱印船貿易を行っていた荒木宗太郎とベトナムの姫(アニオーさん)の婚礼の様子をテーマにしていて、「オランダ東インド会社」の社紋をさかさまに描いた船旗が掲げられた豪華な船が秋の空に映えます。

いくつかの町が奉納する「阿蘭陀万歳」は、長崎に漂着した2人のオランダ人が、長崎で生きて行くために、大道芸人をして生計をたてたという話を踊りにしたユニークな演し物です。2人のオランダ人は万歳(まんざい)と才蔵(さいぞう)と呼ばれ、日本や中国の踊子たちと一緒に躍りを披露します。2人が着るカラフルな衣装が印象的です。

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    ポルトガルの船を模した「南蛮船」の演し物。

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    ベトナムの「アニオーさん」を乗せた「御朱印船」

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    万歳と才蔵が主人公の「阿蘭陀漫歳」

中国系の奉納踊りは、長崎くんちのもう一つの代表的な演し物(だしもの)になっています。披露されるのは「龍踊(じゃおどり)」、「獅子踊(ししおどり)」、「唐人船(とうじんぶね)」など。
龍踊は長崎くんちの顔ともいえる踊りの一つで、現在4つの町が継承しています。そのため、見られる機会も多いのですが、各町は独自の内容を用意しているので、踊る龍の種類や演出は違っています。ただし、龍が月を意味する玉を追いかける「玉追い」という動作が龍踊の基本になってます。

獅子踊は、諏訪神社のすぐそばにある玉園町などが受け継いでいます。この踊りの見どころは、2人が組んで獅子の演技を披露することです。1人が獅子の上半身、もう1人が下半身を担当するため、息のぴったりあったアクロバット的な演技が人気です。特に獅子が立ち上がる時の動作はとてもダイナミックです。

長崎駅近くの大黒町の演し物は唐人船です。江戸時代、この辺りには船着き場があり、そこに中国の船が良く来航しました。唐人船の奉納踊りはそうした船が長崎の船着き場に入ってくる様子を再現したものです。中国特有の楽器である「二胡」の音色といっしょに船が入場します。奏でる曲は中国の船唄だそうです。

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    龍が玉を追いかける「玉追い」の演技を披露する「龍踊」

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    「獅子踊」は2人が組になって披露するもの。息のぴったりあった演技が人気です。

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    江戸時代に中国の船が長崎の港に来航する様子を表現した「唐人船」

「鯨の潮吹き」「川船」「大漁万祝恵美須船」など漁をテーマにしたものがあります。鯨の潮吹きは万屋町が担当する演し物。鯨、小舟、納屋が現れ、鯨を捕獲するストーリーを踊りで披露します。時折鯨が潮を吹き、「ヨッシリ ヨイサ」という掛け声が踊りの場を盛り上げます。

「川船」は複数の町が年毎に担当するため、ほとんど毎年見ることができます。演し物は船頭が見事な網打を披露し、それによって捕獲した魚を諏訪社に奉納します。そして、屈強な男たちが船を前へ後ろへと曳き回し、荒波の中を航海する船の様子を表現します。「船回し」と呼ばれる、船をその場で回す技が見どころです。

「大漁万祝恵美須船」は、川船が多い中、唯一海の船による演し物です。その船も大きく重いためダイナミックな奉納踊りが人気です。

毎年10月7日〜9日に開催される秋のお祭り「長崎くんち」。カラフルに作られた曳物とその曳物を操る町の人々の熱い思いが伝わってきますね。また演し物が毎年変わることも一つの楽しみになっています。特に7年に1回しか見られない演し物は絶対見逃したくないですね。ぜひ出かけて長崎のこのダイナミックで国際色豊かな長崎くんちを楽しんでください!

写真提供:長崎県観光連盟
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。

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    実際に潮を吹く「鯨の潮吹き」

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    捕獲した模型の魚を諏訪神社に奉納する「川船」

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    大きな海の船を操る「大漁万祝恵美須船」

掲載日: 2019/07/25
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
長崎くんち
TEL
095-822-0111【長崎伝統芸能振興会(長崎商工会議所内)】
住所
【諏訪神社】〒850-0006 長崎県長崎市上西山町18-15
【八坂神社】〒850-0831 長崎県長崎市鍛冶屋町8-53
【中央公園】〒850-0876 長崎市賑町5
【お旅所】〒850-0035 長崎市元船町17番(夢彩都横・おくんち広場)

【諏訪神社】〒850-0006 長崎県長崎市上西山町18-15

【八坂神社】〒850-0831 長崎県長崎市鍛冶屋町8-53

【中央公園】〒850-0876 長崎市賑町5

【お旅所】〒850-0035 長崎市元船町17番(夢彩都横・おくんち広場)

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
なし
営業時間
定休日
対象年齢
全年齢
料金
※各踊り場によって観覧券の料金は異なります。購入時にご確認ください。
アクセス
【諏訪神社】「諏訪神社前」電停から徒歩すぐ
【八坂神社】「崇福寺(旧正覚寺)」電停から徒歩2分
【中央公園】「めがね橋」電停から徒歩2分
【お旅所】 「大波止」電停から徒歩3分
公式サイト
http://nagasaki-kunchi.com/
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