長崎県雲仙市千々石町の橘神社は桜の名所として知られています。この桜の咲く頃に毎年開催されているのが「観櫻火宴(かんおうかえん)」。(*2019年は桜満開の3月30日に開催されました)日本一のたいまつ武者行列に認定されています。
観櫻火炎に参加する武者行列に、この春小学校入学予定の晟志郎くんは稚児武者(ちごむしゃ)、中学校入学予定の光世ちゃんが元服武者(げんぷくむしゃ)として申し込みました。晃志郎くんと成世ちゃんは観客として参加します。
集合場所は千々石中学校の体育館、たくさんの武者衣装が並んでいます。
「23回目を迎える今年はおかげさまで180名を超える、過去最高の参加者がいらっしゃいますよ。皆さんも楽しんでくださいね。」
迎えてくれたのは実行委員会会長の町田岩太さんです。
「四百数十年前に、佐賀の龍造寺(りゅうぞうじ)がこの千々石の釜蓋城(かまぶたじょう)に攻めて来たんですね。その歴史にちなんで始めたのが観櫻火宴です。」
長崎県の桜の名所として知られる橘神社の桜。この桜が咲く頃に「観櫻火宴」は開催されます。
着替えの会場となった千々石中学校の体育館。約200体もの武者衣装が並ぶ様子は圧巻です。
実行委員会の町田岩太会長。慌ただしい中、優しく迎えてくれました。
武者衣装は参加者毎に並べられていて、たくさんのボランティアの皆さんが出陣式に間に合うよう、手際よく着付けをしています。元服武者になる光世ちゃんには2名のボランティアの方が着付けをします。普段着ることのない武者衣装だけに、お手伝いをしていただかないとうまく着ることができません。約20分で武者に変身。なかなか凛々しいじゃありませんか。稚児行列になる晟志郎くんはまだ着付けをしません。実は衣装をつけるとトイレに行くのが大変なために、ギリギリに着るのだとか。戦国時代も大変だったんだろうね。
武者衣装は手際よく着付けできるよう参加者毎にキチンと並べてあります。
ボランティアの方の助けを借りて、少しずつ武者に変身します。
光世ちゃんが凛々しい武者姿になりました!
着替えを終えた光世ちゃんは橘神社で元服式に参加。10代で大人とみなされていた昔に則って、観櫻火宴では元服式を行っているんです。光世ちゃんは緊張の面持ちで玉串奉奠の大役を果たしました。
武者行列の出発点となる福石公園には、稚児武者になった晟志郎くんも待っていました。出発の前にはいろいろなセレモニーもあり、晟志郎くんは千々石にやってきた極悪軍団と対決する最強軍団の一員となって、悪い武者をやっつけます。
元服立志式では光世ちゃんが堂々と抱負を語りました。
「将来は一級建築士になりたいと思います。そのために中学校では勉強を一生懸命やります。」
ヘェ〜、そんな目標があるんだ。しっかりしてるね!
光世ちゃんは橘神社で元服式に参加しました。
出発地となる福石公園では出発前のセレモニーに晟志郎くんが参加。
元服立志式では光世ちゃんが堂々と将来の目標を宣言しました。
日もすっかり落ちた頃、たいまつに火がつけられます。たいまつの炎があたり一面をこうこうと照らす様に、思わず声にならない声を上げてしまいます。
武者行列の掛け声は「弥栄(イヤサカ)」。平和な時代に生きる私たちが、平和な今の世への感謝の念をもって、ふるさとの活性化、再認識につなげていこうという意味が込められているそうです。
「弥栄(イヤサカ)!」の掛け声がかかると「オオーッ!」と武者の声が響きわたります。たいまつ武者行列の大軍団が福石公園を出発し、ゴールの橘神社を目指します。
細い商店街を抜ける様はまさに一大絵巻。揺らめくたいまつの炎がうねうねと続き、『炎の大蛇』と称されるのもうなづけます。晟志郎くんはたいまつを持ったお父さんと進み、光世ちゃんは元服武者の一行とともにたいまつを持ち進みます。
「熱い!」と叫ぶ光世ちゃん。たいまつの熱もそうだけど、みんなの熱気もすごいよね!
晟志郎くんは、たいまつを持ったお父さんと出発!
光世ちゃんは、元服武者の一員として進みます。たいまつが熱い!
まるで絵巻のようなシーンが続きます。
観櫻火宴最大の見所といわれるのが「国道渡り」。国道いっぱいに武者が広がり進む様は圧巻です。さらに、橘神社の大鳥居をくぐると満開の桜並木が。たいまつの炎で妖しくも美しい姿を見せてくれます。
沿道には夜店が並び、大勢の見物客が見守る中、「弥栄(イヤサカ)!」、「オーッ!」の声が続きます。
スタートして約1時間で橘神社の拝殿に到着。ちょっと引っ込み思案だった晟志郎くんはずいぶん積極的に、光世ちゃんは自信がついたように見えるのは気のせいでしょうか。
他では味わえない興奮と感動が「観櫻火宴」にはあふれています。見るのもいいですが、ぜひ親子で参加して欲しいお祭りですね。
文・写真 取材ディレクター 中尾知徳
最大の見所「国道渡り」から、橘神社の大鳥居をくぐる武者行列は必見!
たいまつの炎に照らされる桜並木の美しいこと。
引っ込み思案に思えた晟志郎くんも、「弥栄(イヤサカ!)」の掛け声が自然に出ます!
掲載日:
2019/04/17
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〒854-0406 長崎県雲仙市千々石町己529(橘神社)