昔は日本海軍の基地として栄え、現在ではアメリカの海軍基地がある佐世保は、いろいろな面で海軍文化やアメリカ文化の影響を受けています。その一つがグルメ。そんな佐世保ならではのハイカラなグルメ4品を紹介します。どれもおいしそう!早速食べに行きましょう!
佐世保のグルメといえば、まずは「佐世保バーガー」ですね。昭和の中ごろ、米軍基地から直接レシピをもらい作ったのが始まりと言われています。佐世保は日本におけるハンバーガー伝来の地なのです。今では日本中どこででも売っているハンバーガーですが、佐世保バーガーの定義を見てみると「地元食材を使い、注文を受けて作り始めるこだわりハンバーガー」となっています。この定義の条件を満たすように、佐世保市では審査を行って、基準に適った店舗を認定する制度を設けています。現在認定されているのは25店舗以上。店の前に「佐世保バーガーボーイ」の絵の入った看板を出しているので分かります。各店舗ではバーガーの作り置きをしないで、注文を受けてから作り始めます。バーガーマップの中から気に入った店を選び、こだわりのパテや野菜、ソースなどで作る佐世保バーガーを味わってみましょう。
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佐世保市内25店舗以上で食べられる「佐世保バーガー」。注文を受けてから作り始めます。
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地元の食材を使って各店舗独自のバーガーを提供しています。
「レモンステーキ」はアメリカのビーフステーキの影響を受けて、佐世保の洋食屋「レストラン門」のシェフが日本風にアレンジした料理で、その後、佐世保市内に広まりました。
熱く熱した鉄板に生の薄切り肉を乗せ、鉄板の熱で調理します。食べる直前にレモン風味のしょうゆベースのソースをかけて食べます。一般のビーフステーキと違うのはそれだけではありません。ステーキを食べた後は、鉄板に残ったソースにご飯を混ぜて食べます。これがまたおいしいと評判!
店によっては最初から焼いた状態で出すこところもあります。
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ほとんど生の状態で出てくビーフを厚く熱した鉄板の上で焼いて食べる「レモンステーキ」
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焼いた後にレモン汁としょうゆベースのソースをかけて出来上がり。
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レモン風味でさっぱりしているので、夏にもおすすめ。
「海軍さんのビーフシチュー」と呼ばれているビーフシチューも佐世保ならではのグルメです。この料理は、明治時代に佐世保鎮守府の代司令官を務めた東郷平八郎が紹介したもの。東郷平八郎は、留学先のイギリスで食べたビーフシチューの味が忘れられず、帰国後、ある料理長に頼んで作らせたそうで、それから広まったと言われています。ところが当時はビーフシチューに必要なワインやデミグラスソースがなかったため、醤油と砂糖を使って作ったそうです。
今では、そうした食材も手に入り本格的なシチューに仕上がっています。佐世保のビーフシチューは各店舗で工夫されていて、大きなビーフの塊をニンジンなどといっしょに煮込んであったり、煮込んだ後に、ゆでたブロッコリやインゲン豆を添えて出す店もあります。東郷さんもイギリスで同じようなシチューを食べたのでしょうか。
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昔の司令官、東郷平八郎が伝えたビーフシチュー
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良く煮込んだビーフは口の中でとろけるほど柔らかです。
最後に紹介する佐世保のグルメは「入港ぜんざい」です。始まりは日本海軍時代。海軍の船が佐世保港に帰港する前の夜に船内で船員たちに出されていました。ぜんざいにはお祝いの意味があり、またその甘さが疲れを癒すことから船員たちに「ご苦労様」の気持ちを込めて振る舞われていました。アメリカ文化の影響は受けていませんが、海軍の町として誕生したデザート。やはり佐世保ならではのグルメだといえますね。「海軍さんの入港ぜんざい」とも言われています。ぜんざいの種類は店によって多少変わりますが、タイ焼きを入れた入港ぜんざいがユニークで話題を呼んでいます。
海軍の街佐世保ならではのグルメを4つ紹介しました。アメリカの影響を受けた佐世保バーガーやレモンステーキ、そしてイギリスの影響を受けたビーフシチュー。そして入港ぜんざいなど、どれもおいしそうなものばかりですね。ぜひ佐世保ならではの味を楽しんでみてください。
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タイ焼き入りの「入港ぜんざい」
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文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。
掲載日:
2020/07/10
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