長崎でも屈指の温泉町として知られている雲仙市小浜町。町の中にはあちこちで湯けむりが漂い、日本一長い足湯や外湯なども楽しめる所です。でも町中には、温泉施設以外にも観光スポットがたくさん!どんなものがあるのか、小浜町を探索していろいろな発見をしてみましょう!
「緑のトンネル」は、小浜町北部の海岸近くにある道路脇に自然に生育した緑の美しい木々が形作るトンネルのような風景のことです。このトンネルを見るには、島原街道の上石田から県道201号線に折れて、海岸沿いの道路を小浜町の中心街に向かって進んでください。この道路、実は昔、小浜~愛野間を結ぶ鉄道の跡を道路に作り直したものです。道幅が狭いので注意が必要です。
このトンネルを抜けるとやがて小浜町の中心街に入っていきます。この道路は「ジャカランダ通り」とも呼ばれ、街のメインストリートにジャカランダの木が立ち並んでいます。この木は1968年頃にエチオピアに住んでいた地元出身の一男性が元小浜町長に頼んで植えられたのが始まりです。亜熱帯性植物のジャカランダは小浜の気候と相性が良かったのかよく育ち、夏になるときれいな紫色の花が咲きます。また、花の時期である5月〜6月には、ライトアップされ、昼間とは一味違う美しさを見ることができます。
ジャカランダ通りをさらに進むと「金浜眼鏡橋」が見えてきます。1846年、金浜川が橘湾に流れ込む所に作られたアーチ型の橋です。170年以上の歴史を感じさせる古めかしい感じのする眼鏡橋です。
©長崎県観光連盟
自然に生育した木々が「緑のトンネル」を作っています。
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大きなジャカランタの木と小浜民謡「女(おな)よい節」の女性像があるジャカランタ通り
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170年以上の歴史を持つ金浜眼鏡橋
金浜眼鏡橋を見学したら、また小浜町の中心街に戻りましょう。車を止めて、ここから小浜町の散策が始まります。最初は「夕日の広場」。名前の通り、橘湾に沈んで行く美しい夕日が見えるスポットです。20世紀の初期~中期にかけて活躍した医師であり歌人であった斎藤茂吉が愛した場所として知られています。広場に建てられた碑には、茂吉の歌「ここに来て落日を見るを常とせり 海の落日も忘れざるべし」が刻まれています。
次のスポットは「いぼとり地蔵」。もしいぼがあって取れたらいいなと思っていたら、このお地蔵さんにお願いしてみましょう。ただし、丁寧なお願いではききめがなく、かえって“いぼ”が別の所についてしまうとのこと。「このいぼとれ!」と命令するようにお参りしてするのがポイントだそうです。
小浜公会堂は、雲仙が国立公園に指定された1934年に建設されました。洋風な外観がおしゃれなこの建物は、長崎県内に現存する木造公会堂としては最も古い貴重な建造物です。2010年に改築され、コンベンションホールとして地域住民のスポーツや会議などの場として利用されています。
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歌人の斎藤茂吉が愛した「夕日の広場」
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いぼを取りたかったら、いぼとり地蔵に「このいぼとれ!」と命令して祈祷しましょう。
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「小浜公会堂」は長崎県最古の木造建造物です。
小浜神社は、島鉄バス小浜ターミナルの東に鎮座している神社です。温泉の小浜町らしく、「湯の神」が祀られています。社殿の天井には、龍の絵が描かれています。この龍は、1792年にこの地方に大地震が起こった時に空から舞い降りて来て、町民に大津波が起こることを告げ、そのことにより町民の命が助かったと言い伝えられています。
現在の社殿は1995年に新築されたものです。龍の絵もその時に移されました。
1679年に建てられた元の神社は現在の場所から200メートルほど南の丘の上に鎮座していました。現在その跡地は「小浜神社跡」と呼ばれ公園として使われています。その公園の一角にあるのが推定樹齢300年と言われる「大楠(おおくすのき)」。高さは30メートルとそれほど高くないのですが、幹の下部から何本もの枝に分かれているので広範囲に広がり、その様子は圧巻です!
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1995年に新築された小浜神社
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神社の天井に描かれた龍の絵。昔大地震が起きた時に大津波が来ることを告げに降りてきたと言われています。
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小浜神社跡にある「大楠」。推定樹齢は300年以上。
温泉街の中にある古びた石段を登り門をくぐると、温泉の湯けむりが見え、その中に小浜歴史資料館があります。資料館の敷地内には、1844年に建てられた本多湯太夫展示館(ほんだゆたゆうてんじかん)と歴史資料展示館があります。湯太夫とは温泉を管理していた代官のことで、本多氏は、小浜温泉の発展に偉大な貢献をした人として敬われています。その人の邸宅を歴史的遺産として保存しているのがこの展示館で、ここでは彼の功績を紹介しています。また、邸宅内には昔からの太い柱などがそのまま残り、当時の面影を伝えています。
資料館の敷地内には今でも源泉があります。ここでは、湯の花という温泉の成分が固まったものを取り除く作業が定期的に行われています。湯の花を取り除くと、地下の湯が一気に噴き出し、迫力満点!この作業は一般に公開されています。
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小浜歴史資料館にある本多湯太夫展示館。ここは昔、本多氏の邸宅でした。
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昔の面影が残る邸宅内は展示場として使われています。
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敷地内にある源泉。湯の花の取り除き作業が定期的に行われています。
小浜歴史資料館のもう一つの建物は、歴史資料展示館です。ここでは、小浜エリアの一般的な歴史、交通、温泉の特色などを展示しています。昔の生活を想像させるようなレトロな物も置かれていますよ。
温泉の町として発展してきた小浜町。もちろんゆっくりと温泉を楽しむだけでもすてきな時が過ごせますが、街の中を歩いてみると、意外な物にたくさん出会えますね。ジャカランダや楠の大木、夕日の広場、いぼとり地蔵や龍の天井画、そして今でも源泉の湧き出る歴史資料館で学ぶ小浜町の発展の記録 等々・・。さっそく出かけて探索してみましょう!
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小浜歴史資料展示館
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小浜町の歴史がわかるようなレトロなものが展示されています。
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小浜の魅力は温泉だけではない!!
写真提供:長崎県観光連盟
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。
掲載日:
2020/06/25
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
【緑のトンネル】長崎県雲仙市小浜町
【小浜公会堂】〒854-0514 長崎県雲仙市小浜町北本町848番地
【いぼとり地蔵】〒854-0514 長崎県雲仙市小浜町北本町89-1
【夕日の広場】〒854-0514 長崎県雲仙市小浜町北本町
【小浜神社】〒854-0514 長崎県雲仙市小浜町北本町853
【大楠】〒854-0514 長崎県雲仙市小浜町北本町901-2
【小浜歴史資料館】〒854-0514 長崎県雲仙市小浜町北本町923-1