日本棚田百選に選ばれた外海地区の大中尾棚田。自然に囲まれた素晴らしい景色で、季節ごとにさまざまな表情を見せてくれます。もちろん、棚田は景観だけでなく、災害を防いだり、生態系を守る上でも重要な役割を果たしています。そんな棚田で体験民泊をさせてもらえるところがあると聞いて、行ってきました。その名も「棚田の里」。迎えてくれたのは、川口カズヱさんです。カズヱさんは、棚田のある大中尾地区の盛り上げるために地元の産物を利用した加工品を作る「がんばろう会」の代表としても頑張っている方。今回は地元に伝わる郷土料理「からべにしめ」を親子で作らせてもらうことになりました。
さて、どんな料理になるのでしょうか?とっても楽しみです。
棚田の大中尾地区に入るとイラスト付の看板が迎えてくれます
優しい笑顔のカズヱさんが待っていてくれました。
カズヱさんは「がんばろう会」の代表としても活動しています
「棚田の里」では、夕飯はカズヱさんと一緒に作るのが基本。大中尾地区に伝わる郷土料理「からべにしめ」は、
いわゆるお煮しめ。材料は、自分の畑で収穫した野菜や手作りのコンニャク、それにワラビやゼンマイなど、季節のものを使います。豊富な材料を目の前に、いよいよ濱田さん一家が挑戦です。
ところで「からべにしめ」ってどういう意味なんでしょう?「さあて?私たちもよくは知らんとよ」とカズヱさんからはおおらかな答えが返ってきました。ただ、“からべ”とは地元の言葉で“ひからびる”という意味らしく、煮えたら水気を良く切るから「からべにしめ」では、とのことでした。
これは、何でしょう?コンャクイモだって。それにしても大きい!
三角巾とエプロンで準備万端。さあ、がんばるぞー。
「からべにしめの」の材料は、カズヱさんの畑や地元の食材が中心です。
まずは、材料の皮むき。純平君はピーラーを持つのが初めてだそうで、手を切ったりしないかヒヤヒヤしましたが、みんな一心不乱に取り組んでいて感心させられました。その後、カズヱさんが下ごしらえした材料と合わせて、砂糖と醤油で良く煮ていきます。
純平君は初めての野菜の皮むきで、カズヱさんも温かく見守ります
競い合うように鍋に材料を入れる子どもたち。
醤油と砂糖を入れて、時間をかけて煮込んでいきます。
煮込み時間が30分以上あるので、その時間で裏の畑で野菜の収穫体験!カズヱさんの指導のもと、包丁でブロッコリーを切ったり、玉ねぎを引っこ抜いたり、みんな大はしゃぎで収穫していきます。子どもたちの笑顔を見ていると、こちらまでほっこりしてきます。
とれる野菜は季節によって違うそうなので、年間を通して楽しめますね。
ブロッコリーを初めて収穫した純平くんです。
真帆ちゃんは玉ねぎを収穫しました。
畑ではいろいろな植物が目を楽しませてくれます。
野菜の収穫から帰ると、ちょうど煮込みも終わりです。後は、みんなで盛り付け。畑で収穫したばかりのとれたて野菜を使った新鮮サラダもできあがりです。
彩りがあって美味しそうな料理がテーブルに並びました!
ゆったりとした棚田にある場所で、親子で郷土料理を作る初めての体験。最初、子どもたちが田舎なんて退屈に思うかなと心配していたけれど、料理づくりも真剣だったし、収穫体験がとっても新鮮だったようで、お母さんはもとより取材陣もビックリ。素朴な「からべにしめ」もみんな「おいしい」と箸を休めることがなかったため、子どもたちもちゃんとおいしさがわかるんだなと意外な発見がありました。優しいカズヱさんに感謝!子どもたち、今度は、稲が植わった時に来てね。
文・写真 中尾知徳
掲載日:
2018/04/25
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