鎖国下の江戸時代、唯一世界と貿易を許され発展した長崎。当時の長崎は最先端の学問や文化にあふれ、多くの留学生が遊学していました。
そんな世界への窓口である長崎をある一人の男が訪れます。幕末の風雲児・坂本龍馬です。龍馬は長崎の亀山(現在の長崎市伊良林地区)に日本初の貿易会社「亀山社中」を創設。明治維新を大きく推進する原動力となりました。
「亀山社中資料展示場」は若宮稲荷神社そばに移設された資料館で、亀山社中の同志や活動の歴史、そして坂本龍馬ゆかりの品物などが数多く展示されています。2018年3月に全面的に改修工事を行い、玄関回りが広くなり随分と出入りしやすくなりました。
今回は、「亀山社中資料展示場」の魅力について紹介したいと思います。
寺町にある「龍馬通り」という細い石畳の階段を上ると坂本龍馬に所縁の深い史跡巡りができる。
展示場横の坂道を上ると「竹ン芸」で有名な若宮稲荷神社がある。
改装前ににはなかった玄関前の広場。右手に見える坂道を上ると若宮稲荷神社、風頭公園へつながる。
この「亀山社中資料展示場」にある資料は、元々「亀山社中跡」の建物内で展示されていたそうですが、2009年亀山社中跡が記念館になるのを機に現在の展示場に移されました。元々ここは日本初の西洋料理専門店「良林亭」があった場所で、玄関前には「良林亭跡」の由緒書きがあります。
展示場は土日祝日のみオープン。玄関でまず靴を脱いで受付で住所・氏名等を記入します。入館料は無料ですが、募金箱が設置してあるのでぜひご協力を。
この展示場の運営は「亀山社中ば活かす会」がボランティアで行っており、亀山社中記念館や展示場の開設の経緯、坂本龍馬の経歴、明治初期の長崎の様子など詳しく教えてもらえます。龍馬ファンならずとも聞き入ること間違いなしですよ。
入口の傍らにある「良林亭跡(りょうりんていあと)」の由緒書き。
受付に住所と氏名をノートに記入。募金するとオリジナル龍馬カードがもらえる。
「亀山社中ば活かす会」のメンバーの方。展示場内を丁寧に案内してくれる。
建物の中は6畳、6畳、4畳半(約27平方メートル)の3つの部屋に分かれ、坂本龍馬にゆかりのある人物や幕末に活躍した偉人達の写真が壁一面に飾られています。入ってすぐの部屋にあるのが亀山社中・海援隊のメンバーの写真とその名簿。その隣には、西郷隆盛や大久保利通など明治時代活躍した人物の写真、そして天井近くには龍馬がお龍へ送った手紙の複製も見られます。
奥の部屋の壁は、日本初のカメラマン上野彦馬や龍馬の妻・お龍、高杉晋作、近藤勇、勝海舟など龍馬と懇意にしていた人物の写真がずらり。龍馬がいかに多くの人々と親交があったかがわかります。また、この部屋には明治初期の長崎港や出島の写真もあり、埋め立てられる前の長崎の様子が見られて面白いですよ。
展示品の大部分は写真ですが、部屋の窓際にはショーケースがあり、その中には龍馬が肌身離さず持っていた拳銃・スミスアンドウエッソン(S&W)と龍馬が愛用していた茶碗の複製品が飾られています。当時龍馬が使っていたと思うと、親しみがわきますね。
西郷隆盛や大久保利通の写真や龍馬の手紙(複製)、新政府網領八策(複製)など明治時代の貴重な資料が数多く展示されている。
一番奥の部屋には龍馬と所縁がある幕末に活躍した人物の写真が飾られている。
龍馬が愛用していた拳銃と茶碗の複製品が保存されているショーケース。茶碗は亀山焼の「どんぶり茶碗」と「湯呑茶碗」。
もう一つ見逃せないのが、天井近くに張り巡らされた有名人の色紙。NHKの大河ドラマ「龍馬伝」の撮影中に訪れたキャスト陣や、漫画家、作家など多くの著名人の名前を見つけることができます。特に2010年は龍馬伝の放送もあり、展示場内は連日人でごった返していたのだとか。長崎出身の福山雅治さんが坂本龍馬役で出演したということでかなり盛り上がっていたようです。
こちらの展示場には龍馬や龍馬と関係の深い人物の子孫の方々も訪れています。龍馬の子孫である坂本家9代目坂本登さんを始め、勝海舟・上野彦馬、そして龍馬の盟友・伊藤助大夫の子孫の方々が並んで写っている貴重な写真が!ここがいかに龍馬を語る上で大事な場所か伝わってきますね。
天井近くには今まで訪れた有名人の色紙がビッシリ!!お気に入りの芸能人がいるかも?
展示場を訪れた龍馬の子孫の方や龍馬に所縁のある人物の子孫の方々。
龍馬関連の書籍。一般の書店では販売されていない貴重な本も。
龍馬ファンの心をくすぐる嬉しいサービスも。部屋の片隅には撮影コーナーが設けられ、龍馬の特大パネル写真をバックに拳銃、刀、提灯の3点から好きなアイテムを選んで写真を撮れます。
この拳銃はショーケースの中の拳銃と同じモデルのレプリカで、刀は龍馬の愛刀「陸奥守吉行(むつのかみよしゆき)」の短刀と長刀の2種類。プラスチック製の模造刀で、うちの5歳の娘が片手で持てるくらい軽かったです。提灯はどうやら当時の生活を伝えるための道具として置かれているようでした。
これらの道具を選んで写真を撮るだけでなく、ボランティアスタッフの方が龍馬の遺品にまつわるエピソードを話してくれます。古写真を眺めたり、龍馬の愛用品に触れる事ができたりと色々楽しめる展示場。ぜひ一度足を運んでみて下さいね!
文・写真 加藤真澄(長崎市南部在住10年目の主婦ライター)
高杉晋作から譲り受けた龍馬のピストルの複製品。実際に触ることができる。
龍馬の愛刀(複製品)を持ってパシャリ!龍馬のパネル写真をバックに写真を撮ろう。
等身大の龍馬のパネル写真。龍馬の身長は約176cmと言われ、江戸時代ではかなり身長が高い方だったよう。
掲載日:
2019/06/03
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
〒850-0802 長崎県長崎市伊良林2-9-2