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「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」③~甘くて、地元産の食材をふんだんに使った「しま」の郷土料理を知ろう!

5回シリーズで紹介している長崎県の「うちの郷土料理」。3回目の今回は対馬や壱岐、五島列島の郷土料理をめぐってみましょう。

国境の島・対馬。古くから大陸や朝鮮半島とのつながりがあったこの島で、郷土料理としてまず挙げられるのが「対州(たいしゅう)そば」。古く縄文時代には朝鮮半島を伝って対馬で栽培されていたと言われています。ほかの品種に比べて、そばの風味、香りが強いのが特徴です。冠婚葬祭やお祭りの時などに、各家庭でそばを打って食べられていたとのことです。また、「冒険する長崎プロジェクト」でもご紹介したように(2021年6月21日)、観光客向けにそば打ち体験をさせてくれるお店もあります。

その「対州そば」を最後の「シメ」にしていただく郷土料理が「いりやき」。対馬産の地鶏に、ブリやクロ、アナゴなどの魚と地元産の野菜をふんだんに使った鍋料理です。お祝いごとなど、人が集まるときのおもてなし料理で、スープの味付けは各家庭ごとに違うそうですが、みりんを入れてちょっと甘めのものが多いようです。具材のうまみが凝縮されたスープに最後は麺を入れるのが対馬流、とのことで、そばのほかに、そうめんも使われることがあります。

  • ©(一社)長崎県観光連盟
    国境の島・対馬

  • ©(一社)長崎県観光連盟
    「対州そば」は、そば特有の風味に優れているといわれる

  • ©(一社)長崎県観光連盟
    海の幸、山の幸、地元産の野菜もふんだんに入った「いりやき」

この「うちの郷土料理」は、農林水産省が全国各地の多様な食文化を次の世代に継承する活動の一つとして、ウェブサイトにまとめたものです。このうち、長崎県の郷土料理には、ちゃんぽんや皿うどんなど30のメニューが掲載されていて、そこからは対馬の「いりやき」のように海の幸と山の幸に恵まれた長崎独特の食文化が見えてきます。

壱岐の郷土料理として紹介されているのが「ひきとおし」。対馬の「いりやき」もそうでしたが、お客さんをもてなすために作った鍋料理です。「どうぞ、どうぞ」と家の奥の座敷にお招きして(引き通して)、昔はそれぞれの家で飼育していた地鶏を使って作ったのがひきとおし。鶏肉のほか、白菜やねぎなどの野菜、それに大きくて味が濃いことで有名な地元の「壱州豆腐(いしゅうどうふ)」を入れて、甘めの味付けでいただきます。シメはかために茹でたそうめんが定番なんだとか。
対馬のいりやきと同様、島内の飲食店でも提供されているので、観光客も楽しめる味となっています。

  • ©(一社)長崎県観光連盟
    猿に見えるかな?壱岐の有名観光スポット「猿岩」

  • 出展元:農林水産省webサイト「うちの郷土料理」
    画像提供元:(公社)長崎県栄養士会
    壱岐の「ひきとおし」。こちらも山海の食材がいっぱい

  • 農林水産省webサイト「うちの郷土料理」

「地獄炊き」という怖そうなネーミングの郷土料理で知られるのは、五島列島の特産品・五島うどん。麺にだしをかけたり、つけたりして食べるのではなく、乾麺である五島うどんを茹でたら、鍋ごと食卓へ。鍋から直接、麺を取って、そうめんのように「あご」(トビウオ)などで作ったつゆにつけていただきます。シンプルだけどアツアツでとっても美味しい食べ方。小ねぎや九州ではおなじみの「柚子胡椒」などを薬味に、また麺つゆの代わりにたまご(卵黄)で食べるのもオススメです。
秋田県の稲庭うどん、香川県の讃岐うどんと並ぶ「日本三大うどん」の五島うどん。その歴史は遣唐使の時代にまでさかのぼります。中国大陸と日本を行き来していた遣唐使船の寄港地・中国の浙江省(せっこう・しょう)で学んだ製麺の技法を上五島の人々に伝えたのが始まりではないか、と言われています。「冒険する長崎プロジェクト」でもご紹介したように(2022年1月5日)、小麦粉と塩をこねて作ったうどんの生地に椿油を塗りながら何度かに分けて延ばし、細長くなったら乾燥させて完成する五島うどん。つるっとしたのどごしが特徴です。
鍋から茹でたてをそのまま食べる「地獄炊き」スタイル。島原の手延べそうめんでもこのような食べ方があって、みんなで鍋を囲んで食べるのは楽しそうです。
長崎の離島ではそれぞれの土地で作った食材などをちょっと甘めの味付けをして、みんなで一つの鍋を囲んでわいわいといただく、というのは共通点のようですね。

最後にご紹介するのは五島の2つのあまーい郷土料理。

「かんころ餅」は、長崎のお土産としてすでに有名ではないでしょうか。さつまいもで作るお餅です。「かんころ」とは、さつまいもを薄く切って日に干したもので、長崎では離島だけでなく、各地で冬の保存食として作られます。餅米は高価なので、このかんころに、餅米を混ぜてお餅のように作ったのがかんころ餅。五島列島は、江戸時代にキリスト教の禁教令による迫害から逃れようと移り住んだ人も多く、少しでも家族みんなが食べられるようにという工夫から生まれたそうです。五島列島各地や物産展で買い求めることができるほか、観光プログラムでかんころ餅作りを体験することもできます。

一方、小値賀町の「ピーナッツ豆腐」は島の特産品・落花生(ピーナッツ)をすりつぶして、くず粉で固める郷土料理です。小値賀町の落花生は島特有の赤土の畑で潮風を浴びて作られていて、その味は甘くてコクがあると言われます。ピーナッツ豆腐も各家庭でお祝いごとがある時などに作られていたそうで、かんころ餅と同様、今ではお土産品として販売されたり、島を訪れた観光客向けの体験プログラムも用意されています。ちょっと柚子味噌をつけてごはんのおかずとして食べるほか、黒蜜をかけたり、砂糖をまぶしたきな粉をかけるとスイーツにもなるというピーナッツ豆腐。小値賀を訪れた時にはぜひ、手に取ってみてくださいね。
それにしても、やっぱり長崎の郷土料理は甘い!ことを実感する離島の郷土料理でした。

  • ©(一社)長崎県観光連盟
    美しい五島の海。夏の海水浴シーズンはにぎわいます

  • 出展元:農林水産省webサイト「うちの郷土料理」
    五島うどんを「地獄炊き」で。たまごを付けるのもマル!ですよ

  • 出展元:農林水産省webサイト「うちの郷土料理」
    香ばしく焼いて召し上がれ。バターをちょっとつけると絶品!

写真提供:(一社)長崎県観光連盟、農林水産省webサイト「うちの郷土料理」/(公社)長崎県栄養士会
文:冒険する長崎事務局

掲載日: 2023/01/26
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

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スポット名
長崎離島地域(対馬市、壱岐市、五島市、新上五島町、小値賀町)
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