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「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」②~アメリカ文化や海外貿易など料理が生まれた歴史に思いを馳せてみよう!

全国各地の多様な食文化を次の世代に継承する活動の一つとして、農林水産省がウェブサイトにまとめたのが「うちの郷土料理」。長崎県はちゃんぽんや皿うどんなど30の郷土料理が選ばれています。
そこで、「冒険する長崎プロジェクト」では5回シリーズで、長崎県内各地の郷土料理を紹介しています。今回は県北地域の郷土料理を楽しんでみましょう!

まずは、青い空と緑濃い九十九島に代表される美しい佐世保へ。米軍基地のある街で、時折見かける英語表記に街中に聞こえてくるジャズ、明るく陽気な雰囲気が漂います。
佐世保市の郷土料理として選ばれたのは「レモンステーキ」。薄くスライスした牛肉のステーキで、和風ベースのソースにレモン果汁が入っているのがポイントです。お肉はもちろん、このソースのさっぱりとした風味も絶品で、「お行儀が悪いかな」と思いつつ、ごはんにかけるとこれまた、美味しいんです。
このレモンステーキは、米軍基地の影響でアメリカンステーキが流行していた1955年ごろ、ある洋食レストランの兄弟が「日本人の口に合うさっぱりとしたステーキ」を考えたのが始まりです。今では誰もが知るレモンステーキですが、佐世保ならではの食文化と作る人のアイディアが生み出した郷土料理だったのですね。

  • ©(一社)長崎県観光連盟
    佐世保・九十九島。島の数は・・・99ではなく、208あるそうです

  • ©(一社)長崎県観光連盟
    レモンステーキ。アツアツの鉄板にジュージューという音!食欲が刺激されます

  • 農林水産省のwebサイト「うちの郷土料理」

県北地域全域に伝わる見た目も美しい「押し寿司」。使っている道具にちなんで「もろぶた寿司」とも呼ばれています。干ししいたけや干し大根、鯛のほぐした身やごぼう、たけのこなどの具材を混ぜて錦糸卵やピンクのでんぶなどで飾ります。「『大村寿司』とよく似ている」と思っていたら、由来は同じで室町時代にまでさかのぼります。領地を奪還した大村純伊(おおむら・すみこれ)を出迎えるために領民が急きょ、用意した「もろぶた」の上に用意した押し寿司。これが大村では大村寿司として、県北では大村より少し甘めの味付けで、佐々町近海でとれた鯛を必ず入れた「押し寿司」として、お祝いの席などで作られてきました。

面白いのが、佐々町に伝わる押し寿司。「シャリで具を挟むのは、武士は無闇に腹のなかを見せてはならないという精神に通じている」という独自のいい伝えが残っているそうです。武士道にまで、通じる郷土料理、しみじみ味わいたいです。

捕鯨の中心地として栄えた東彼杵町などでよく作られる「鯨じゃが」は、まさに長崎らしい料理です。
縄文時代から捕鯨が行われてきた長崎では、鯨を食す文化があります。お正月などお祝いの席でいただく高級なものだけでなく、カツや角煮などとして普段も食卓に上ります。このうち鯨じゃがは、「肉じゃが」の牛肉や豚肉の代わりに鯨肉を入れたメニューです。同じような甘辛の味付けですが、鯨肉の脂や独特の風味がじゃがいもや玉ねぎと不思議と合って、クセになる家庭料理の一品です。

県北地域に伝わる煮物でもう一つ、紹介したいのが「くりつぼ(栗坪)」。川棚町や東彼杵町でお祭りの時などに食べる栗を使ったごちそう料理です。
鶏肉とれんこんやごぼうなどの根菜類を煮て、みそやしょうゆで味付けをしますが、栗の甘露煮を加えているのであまーく出来上がるのが特徴です(長崎の料理はそもそも、甘いんですけれどね)。

  • 出展元:農林水産省webサイト「うちの郷土料理」
    画像提供元:佐々町役場
    食べるのが「もったいない!」と思ってしまうきれいな押し寿司

  • 出展元:農林水産省webサイト「うちの郷土料理」
    クセになる味!鯨じゃが

  • 出展元:農林水産省webサイト「うちの郷土料理」
    「くりつぼ」。名前にも出てくる「栗」がポイントです

平戸地区の郷土料理として挙げられたのが「アルマド」。ゆで卵を魚のすり身で包んだ食べ物です。海外との貿易が盛んだった平戸ならではとも思える名前の由来は、オランダ語の「アルマトーレ」(包む)、ポルトガル語の「アルマード」(武装する)ではないか、と言われています。同じような食べ物は長崎県内の他の地域にもあって、長崎では「竜眼(りゅうがん)」、佐世保では「アリマド」と呼ばれています。切った断面が竜の目のように見えるんですよね。アルマドは、ゆで卵に食紅で赤い色を付けているので、切ると卵がピンクで縁取られたように見えてとても華やかで、かわいらしく見え、おめでたい席でよく使われました。かまぼこ屋さんなどでも手軽に買い求めることができ、おでんにも入れたりします。

県北地域で最後に紹介する郷土料理は西海市の「茹で干し大根とかんぼこの煮物」と「つぼ汁」。
茹で干し大根は、西海市で生産されている大根(大栄大蔵大根)を細長く切って、一度、茹でた後、海に面した場所で干したものです。美味しさがぎゅっと詰まった茹で干し大根と、長崎では「かんぼこ」と呼ばれて良く食べられるかまぼこを一緒に煮ます。味が染みるととっても美味しいんですよね。

つぼ汁は、西海市のうち雪浦地区に伝わる郷土料理。こちらは法事などで食べられるもので、精進料理のため肉や魚を使わず、豆腐とごぼうや干ししいたけなどを細かく切って煮ています。醤油と砂糖などで味を付けますが、すりおろした生姜を入れることもあるそうです。

紹介した郷土料理は、家庭料理として食べられることが多いのですが、地元の食堂やイベントなどでもよく提供されています。県北地域をドライブしながら、そんなお店を見つけるのも楽しそうです。その地域の歴史や文化も思い出しながら、食べてみてくださいね。

  • 出展元:農林水産省webサイト「うちの郷土料理」
    画像提供元:平戸市食生活改善推進協議会
    断面のピンクがかわいい「アルマド」

  • ©(一社)長崎県観光連盟
    平戸オランダ商館。長崎の出島より早く、海外貿易行われました

  • 出展元:農林水産省webサイト「うちの郷土料理」
    茹で干し大根とかんぼこ。美味しさがぎゅーと詰まってます

写真提供:(一社)長崎県観光連盟、農林水産省webサイト「うちの郷土料理」/佐々町役場、平戸市食生活改善推進協議会
文:冒険する長崎事務局

掲載日: 2023/01/17
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

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長崎県北地域(佐世保市、平戸市、松浦市、佐々町、川棚町、東彼杵町、波佐見町、西海市)
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