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冒険 348

江戸時代からある対馬のおいしい郷土料理を作ろう!

日本海に浮かぶ離島・対馬には、豊かな海の幸や、痩せた土地でも育つ農作物を使った、独特で魅力的な郷土料理が伝えられています。まず、鶏や魚の旨みがたっぷりで甘くておいしい鍋料理「いりやき」が有名です。さらに、サツマイモを原料として作られた、うどんに似た感じの麺とスープからなる食べもの「ろくべえ」も大人気です。
対馬グリーン・ブルーツーリズム協会では、この「いりやき」や「ろくべえ」を自分で作って食べることができる体験プログラムが用意されています。民泊とセットになっているコースもあるので、現地の人に教わりながらチャレンジしてみましょう。

  • 冬のごちそう「寒ブリのいりやき」です。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

  • 「ろくべえ」の麺です。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

  • 「ろくべえ汁」です。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

■「いりやき」の料理体験■
「いりやき」は、古くから、冠婚葬祭や地域の行事、年末年始などの催事がある時に作られていた鍋料理で、いわば、対馬の「ごちそう」です。漁業が盛んな地域では、忙しい漁師さんたちが浜でいつも食べている漁師料理でもありました。現代では、お客さんが来訪する時には、おもてなしの料理として、「いりやき」が出されることも多くなっており、元来からのおもてなしの料理として伝統的に親しまれています。
魚もしくは鶏肉がメイン食材で、醤油がベースですが、少し甘めな味付けが特徴です。白菜・ごぼう・こんにゃく、シイタケ、長ネギ、豆腐などを入れて煮込みます。冬には寒ブリを使うのがおすすめですが、対馬ではヒラス(ヒラマサ)、クロ、キジハタ、メジナなど、豊富な種類の魚が獲れるのでどれを使ってもおいしいです。一昔前は自宅で飼っていた地鶏を入れることが習わしでした。自宅で鶏を買わなくなった現代でも、対馬地鶏を使うとおいしく仕上がります。
鍋の具材をしっかりと食べ終えた後には、うどんやそうめんを入れて食べます。うどんの代わりに対馬そばで食べることもありますが、そばの時には、鍋のつゆを麺にかけて食べます。このように地域によって、食べ方や作り方にも若干の違いがありますが、地域による違いがあるところも対馬の「いりやき」の特徴です。

  • 具材が良く混ざっているようなスタイルで「いりやき」を食卓に出す方法もあります。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

  • 地鶏で作った「いりやき」もとてもおいしいです。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

  • 個人の皿に盛りつけた様子
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

体験コースでは、魚がメインのいりやきを作ります。最初に、用意された旬の魚を適当なサイズに切って、鍋に入れます。このなかにアラやカマを一緒に入れておくとスープの旨みがとても良くなるそうです。この時に醤油と砂糖・酒などで味付けをしますが、この調味料の割合や、各具材の分量が「いりやき」をとてもよい味わいにするそうです。体験コースに参加した時には、この割合をしっかりと覚えておくことが自宅で再現する時の重要なポイントです。
次に野菜などの残りの具材を入れていきます。そして鍋をグツグツと煮込んでいきます。20分ほど経つと「いりやき」のとてもおいしそうな匂いが立ち込めてきて、出来上がりです。対馬の豊かな自然のなかで採れた魚や野菜から出るスープの旨みは絶品です。

「いりやき」は、スープを先に取ってから作ることもあります。特に鶏がらで作るスープの場合には、半日かけて煮込む製法もあるそうです。鶏肉を鍋に入れる前に椿油で炒っておく作り方もあります。この椿油で炒る工程から「いりやき」となったという説もあるそうです。

  • 具材を入れてじっくりと煮込んで作ります。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

  • 現代風な「いりやき」も、とても魅力的です。
    写真提供 長崎県観光連盟

  • メジナの「いりやき」もとてもおいしそうです。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

■「ろくべえ」の料理体験■
「ろくべえ」の麺の元の材料となる「せんだんご」は、サツマイモ100%で作られている対馬の伝統的な保存食品です。11月の収穫から、約4カ月かけて、3月末ごろに完成するもので、「1000(せん)」の手間暇がかかるものということで「せん」と名付けられているといわれています。出来上がった「せんだんご」は、穀物用の倉庫や冷凍庫などで1年間以上保存できます。
対馬には平地が少なく、米が穫れにくかったために、飢饉対策として江戸時代にサツマイモの栽培が推奨されました。そして、サツマイモから、この「せん」を作ることで、対馬の住民は、江戸時代から安定した食生活を確立していたのです。
体験コースでは、この「せんだんご」を麺に加工するところから作業が始まります。この時の水の配分具合いや、こね方で味わいが変わってきます。よく指導者のアドバイスを聞いて作るところがポイントです。
硬い状態の「せんだんご」にほんの少しずつ水を加え、くだきながら、耳たぶくらいの柔らかさになるまでこねていきます。こねたせんを湯通しし、もう一度こねたら麺のもとになる素材が完成します。この素材を専用の板(「ろくべえせぎ」とよばれています)で押し出してうどん状にしてから、茹でます。これで「ろくべえ」の麺が出来上がります。
「ろくべえ」の麺の食感は、ツルツルとしていて、歯ごたえが「モッチリ」としています。ゼリーとこんにゃくを合わせたような感じで、プルプルしています。魚や鶏で作ったスープに入れて食べると格別なおいしさになります。長崎県の島原地域にも、サツマイモが原料となる「六兵衛(ろくべえ)」がありますが、「せん」を使わないことから、対馬の「ろくべえ」は、また違った味わいになっています。

  • よくこねながら、慎重に水を加えていきます。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

  • 「ろくべえせぎ」で、お好みの長さにして、沸騰したお湯に入れていきます。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

  • 水面に浮きあがってきたら、「ろくべえ」の完成です。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

郷土料理の良さや歴史を知ることが、子どもの心の成長にも深く良い影響をもたらすと思います。対馬の「ごちそうを作ろう!」と「いりやき」の調理体験の参加にワクワクしたり、ご飯に困らないように作られた「せんだんご」から、おいしい「ろくべえ」を作ることで当時の食生活に想いを馳せたり・・・。
対馬の郷土料理体験は子どもの心優しさを育むこともできるのではないでしょうか。

  • 乾燥されている状態の「せんだんご」です。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

  • 水を加えながら「せんだんご」を砕いていきます。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

  • 麺の形状をかたどるのに使う「ろくべえせぎ」です。
    写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会

※他にも郷土料理づくり体験を提供している民泊があります。詳しくは対馬グリーン・ブルーツーリズム協会にお尋ねください。

写真提供 対馬グリーン・ブルーツーリズム協会、長崎県観光連盟
文 Correctperson 九州地方の楽しい冒険なら任せてください!

掲載日: 2020/12/11
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
対馬郷土料理づくり体験
TEL
0920-58-0265
住所
【ろくべえ・民泊吉栄】〒817-1213 長崎県対馬市豊玉町千尋藻240-2
【いりやき・民泊ごんどう】〒817-0154 長崎県対馬市厳原町豆酘2566

【ろくべえ・民泊吉栄】〒817-1213 長崎県対馬市豊玉町千尋藻240-2

【いりやき・民泊ごんどう】〒817-0154 長崎県対馬市厳原町豆酘2566

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
あり
営業時間
※各施設で異なります。予約時にご確認ください。
定休日
なし
対象年齢
全年齢(料理体験は小学生以上)
料金
料理体験
1人 1,500円~
※宿泊の料金は施設によって異なります。
アクセス
【民泊吉栄】対馬空港から車で約30分
【民泊ごんどう】対馬空港から車で約50分
公式サイト
https://tsushima-gbt.com/
https://tsushima-gbt.com/posts/house/379
https://minpaku-gondo.com/plan.html
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