冒険県 冒険する長崎プロジェクト ワクワクを探しに出かけよう。

目的で探そう
冒険 351

日本の写真家の始祖「上野彦馬」、ゆかりの地を訪ねてみよう!

写真は今ではスマホで簡単に撮れますね。でも今から160年程前までは人や風景の様子を残したければ、絵に描くしか方法がありませんでした。長崎市に生まれた上野彦馬は、西洋の技術を学びながら、独自の方法で写真技術を開発し、後に自身の撮影局を開設した日本初のプロの写真家です。長崎市内にある上野彦馬ゆかりの地を訪ねてみましょう。

上野彦馬は1838年に今の長崎市に生まれました。明治維新までわずか30年という幕末の時代で、長崎では、海外との交易を通じて蘭学も広まっていました。実際、父の上野俊之丞(うえのしゅんのじょう)はシーボルトから学んだ蘭学者であり、彦馬もその父の影響を受け、学問に興味を抱くようになりました。父の俊之丞は、オランダ人から入手した写真撮影用の機材を持っていましたが、彦馬が実際に写真に関心を持ったのは、オランダ軍医ポンペ・ファン・メールデルフォールトが教官を務めていた医学伝習所で舎密(せいみ)学を学んだ時だと言われています。舎密学とは化学のことで、彦馬は蘭書の中にあった湿板写真術に関心を持ち、感光材を開発し写真技術を確立しました。

上野彦馬が開設した上野撮影局は、長崎市浜町の北部、中島川の川沿いに建てられました。今では川沿いの一角に撮影局の跡が作られ、そこには彦馬が使った写真機のレプリカが置かれています。そして写真機のレンズが向いている先を見ると台が置かれているのがわかります。これは、有名な坂本龍馬の写真の中で、龍馬が肘を置いていた台を再現したものです。
昔のカメラはまだまだ精度が悪く、1枚の写真を撮るのに10秒くらいの時間を要したそうです。つまり写真を撮ってもらう人は10秒間じっとしてなければいけないのですが、それはかなり難しいことです。そのため龍馬の写真の様に台に肘を置いたり、首や体を支える道具などを使ったりして体が動かないようにしました。
上野撮影局跡では、彦馬が龍馬の写真を撮った時のように、一人が台に肘を置いて立ち、もう一人が写真機の所に立つことによって、当時の龍馬と彦馬の写真撮影風景を体験することができるようになっています。

  • ©長崎県観光連盟
    上野撮影局跡

  • ©ウィキメディア
    上野彦馬が撮影した坂本龍馬の写真

  • ©長崎県観光連盟
    当時の写真機はまだまだ精度が低く1枚撮影するのに10秒くらい時間がかかりました。

上野撮影局跡と道路を隔てた所には「上野彦馬宅跡」の石標が立っています。この場所にあった家は上野家の別荘だったもので、彦馬はこの別荘を自宅兼撮影局として使っていました。
そしてそこから、眼鏡橋を渡り15分ほど行くと上野彦馬の生誕地に着きます。現在は、産婦人科が建っていて、銀屋町通り側の入り口付近に坂本龍馬と並んだ上野彦馬の像が置かれています。
彦馬の像の横には写真機のレプリカが置かれ、その横に台に肘を置いてポーズを取る坂本龍馬の像が立っています。
この彦馬と龍馬の像は、以前眼鏡橋の橋のたもとに置かれていたのですが、近年、上野彦馬の本当の生誕地である現在地に移設されました。

  • ©長崎県観光連盟
    上野彦馬の住居跡

  • 以前、眼鏡橋の橋のたもとに置かれていた彦馬と龍馬の像は、現在、実際の生誕地に移設されました。

  • 写真機を挟んで上野彦馬と坂本龍馬が並んでいます。

上野彦馬が撮った写真としては、坂本龍馬の写真が最もよく知られていますが、彦馬は当時の長崎の風景もたくさん撮影しました。そうした写真の何枚かは「長崎市古写真資料館・埋蔵資料館」に展示されています。これらの資料館は、美しい白い洋風の建物が並ぶ長崎市の東山手洋風住宅群の中にあります。住宅群の7棟の建物の内、3棟を資料館として整備し、幕末から明治にかけて撮影された古写真147枚を展示しているのです。またここには、上野撮影局を再現したコーナーもあります。中島川沿いの撮影局跡と併せて見学してみましょう。

幕末から明治初期にかけて、長崎で写真技術を開発しプロの写真家として活躍した上野彦馬。この記事では、彦馬の経歴やゆかりの地、また作品が展示されている資料館を紹介しました。今では簡単に撮れる写真もいろいろな苦労を重ねて今日のように発展したことがわかりますね。ぜひこれらのスポットを訪ねて、上野彦馬の足跡を辿ってみてください。

  • ©長崎県観光連盟
    東山手洋風住宅群

  • ©長崎県観光連盟
    3棟の建物内に上野彦馬の撮った写真が展示されています。

写真提供:長崎県観光連盟ほか
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。

掲載日: 2020/12/22
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
上野撮影局跡 / 上野彦馬生誕地記念碑 / 長崎市古写真資料館
TEL
【長崎市あじさいコール】095-822-8888、【古写真資料館】095-820-3386
住所
【上野撮影局】〒850-0018 長崎県長崎市伊勢町4-14
【上野彦馬生誕地記念碑】〒850-0875 長崎県長崎市銀屋町3
【長崎市古写真資料館】〒850-0911 長崎県長崎市東山手町6-25

【上野撮影局】〒850-0018 長崎県長崎市伊勢町4-14

【上野彦馬生誕地記念碑】〒850-0875 長崎県長崎市銀屋町3

【長崎市古写真資料館】〒850-0911 長崎県長崎市東山手町6-25

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
なし
営業時間
【長崎市古写真資料館】9:00〜17:00
定休日
【長崎市古写真資料館】毎週月曜日(祝日の場合は開館)、12月29日~1月3日
対象年齢
全年齢
料金
【長崎市古写真資料館】一般100円 小中学生50円
アクセス
【上野撮影局跡】JR長崎駅から車で約10分
【上野彦馬生誕地記念碑】JR長崎駅から車で約10分
【長崎市古写真資料館】JR長崎駅から車で約8分
公式サイト
長崎市古写真資料館 https://www.city.nagasaki.lg.jp/kanko/820000/828000/p000831.html
シェアする
facebook line

アクティビティタグ

こちらもオススメ