長崎奉行所跡に建てられた長崎歴史文化博物館に「川政べっ甲製作所」があります。
川政べっ甲製作所は大正10年に創業。100年を超える老舗です。
西村さん親子を迎えてくれたのは、二代目の川口皓弐さん。
「今日はべっ甲細工のアクセサリー作りを体験してください」
川口さんに招かれて店内に入ると、飴色をした独特の風合いのべっ甲細工の製品がたくさんあります。
見るだけでも楽しい!
「さあ、何を作りますか?」
西村さん親子が選んだのはペンダントです。
長崎歴史文化博物館には長崎奉行所が復元されています。
創業100年を超える川口べっ甲製作所。迎えてくれたのは川口皓弐さんです。
店内には飴色をしたべっ甲細工の製品がズラリと並んでいます。
小さい亀の剥製を手にした川口さんが説明します。
「べっ甲細工の歴史は400年の歴史があります。そして、べっ甲細工の材料は、南の海に泳いでいる海ガメの一種、タイマイです。現在、ワシントン条約によってタイマイは保護されていて、日本に輸入することができないんです。だから、べっ甲細工のお店も減っています」
ヘエ〜、そうなんだ。
川口さんが、箱に入っている穴の空いた材料を指差します。
「でも、昔作った端材を捨てないでいたので、それを使って体験をすることができます。それじゃ、早速始めましょう」
まず、ペンダントの形を決める必要があります。
茅ちゃんと一くんはハート形を、凛ちゃんは三日月型を、お父さんはちょっと変わった形の型紙を選びました。
川口さんが、みんなの型紙に合わせてライトの光に透かしながら材料を選び出します。
「できるだけ模様がキレイに見えるのを探さないとね」
材料を選んだら型紙に合わせて糸のこを使って切り出します。
「簡単そうに見えるけど、これは結構難しいんだよ」と川口さん。
べっ甲細工の材料となる海ガメ、タイマイの剥製です。
川口さんが型紙に合うような模様の材料を選びます。
型紙に合わせて糸のこを使って切り出します。
切り出されたべっ甲を作業台に置き、みんなで側面にヤスリをかけます。
「デコボコしないよう、丸くしてね」
ザッ、ザッ、とヤスリをかける音が響きます。
子どもたちが集中している様子に、お母さんも驚いています。
「こんなに集中して静かにしているのは珍しいです」
側面がツルツルになりました。
「次は表の面を立体的にしよう」
川口さんがお手本を見せながら表の面が立体的に見えるようヤスリがけをします。
みんなも真似をしてヤスリがけ。
この作業が終わったら川口さんに渡します。
べっ甲を作業台に置いて側面にヤスリをかけます。
表の面を立体的に見えるようヤスリをかけます。
作業が終わったら川口さんに渡します。ここから名人芸を披露します。
「カメはね、泳いでいるとカキとかで甲羅にいっぱい傷をつけてるんだよ。だから、キレイにしてあげよう」
川口さんが小型のナイフの先でガッ、ガッと表面を削っていきます。
すると汚れが落ちたようにべっ甲のキレイな色が見えてきます。
「白いのがなくなっていくね!」
名人の技に凛ちゃんが驚いています。
次に研磨作業です。子どもたちの作品は職人さんが作業をします。
ギーン!という音とともにべっ甲細工独特の模様と色が鮮やかに。スゴイ!
「お父さん、やってみますか?」
職人さんに促されてお父さん、断るわけがありません。
嬉しそうに研磨作業をします。
さあ、後は仕上げです。
川口さんが作品に穴を開けてチェーンをつけてくれます。
川口さんがナイフを使ってべっ甲の表面の傷を削ります。
べっ甲の模様と色が浮かび上がる研磨作業にお父さんが挑戦します。
川口さんが穴を開けてチェーンをつけてくれます。
できあがったペンダントを川口さんからかけてもらいました。
そのできばえに子どもたちは大喜び!
日の光を浴びるとその美しさがさらに映えます。
「楽しかった!」と凛ちゃん。
「ヤスリをかけるところが難しかった!」と茅ちゃん。
長崎の伝統工芸品を自分で作れるなんて、やっぱりスゴイよね。
べっ甲細工体験の後は、長崎歴史文化博物館内の復元された奉行所で行われるお芝居を拝見。
その昔、唐船やオランダ船が長崎に入ると、貿易品は奉行所に運ばれ、奉行による品改めが行われました。これを
「大改(おおあらため)」といいますが、その様子を再現したもの。子どもたちも食い入るように見入っていました。
その昔、輸入されたべっ甲も同じように奉行所で改められたのかもしれませんね。
西村さん親子にとって長崎歴史文化博物館の新しいおもしろさを発見できた1日だったようです。
川口さんからかけてもらったペンダント!そのできばえに大喜び!
日の光を浴びるとその美しさがさらに映えます。
復元された奉行所でお芝居を拝見することもできました。昔の輸入品の中にべっ甲があったかも!?
文・写真 取材ディレクター 中尾知徳
掲載日:
2020/02/12
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