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冒険 099

対馬に城跡や砲台跡が多いのはなぜ?実際に訪ねて平和の意味を考えよう!

長崎県の離島「対馬」は、朝鮮半島までの最短距離がわずか50キロメートルという近さにあるため、昔から外国との戦争における要塞として使われ、島にはたくさんの城跡や砲台跡が残っています。こうした遺構が具体的にどのような背景で作られたのか、代表的な城跡と砲台跡について調べてみました。

対馬中央の浅茅(あそう)湾近くにある金田城(かなたのき/かねだじょう)跡は、7世紀に天智天皇により建てられた金田城の跡です。当時日本は朝鮮半島の百済(くだら)と同盟を結んでいましたが、その百済が唐と新羅(しらぎ)の連合軍に滅ぼされたため、天智天皇は唐と新羅が日本にも侵略してくるのではと恐れ、防衛のためにこの金田城を建てました。この城はまた日露戦争の時にも要塞として使われました。現在建物は残っていませんが、600年代に作られた石垣や日露戦争時代の砲台跡等の遺構が良い状態で保存されているため、「国特別史跡」に指定されています。この遺跡ではトレッキングが楽しめ、浅茅湾が眺望できます。

  • ©長崎県観光連盟
    金田城登山口

  • 金田城跡に作られた、日露戦争で使われた旧日本軍施設

  • ©長崎県観光連盟
    金田城跡ではトレッキングが楽しめます。

清水山城(しみずやまじょう)跡は、1591年に豊臣秀吉によって作られた清水山城があった所です。秀吉は当時、朝鮮に兵を送って侵攻しようとしていました。清水山城は、佐賀県唐津市にあった拠点「肥前名護屋城」からやってくる兵士たちの中継点として作られたものです。標高210メートルの清水山の上に作られたこの城には、本丸、二の丸、三の丸という3つのエリアがありますが、今は石垣が残っているだけで建物は残っていません。城跡からは遠くに対馬藩の中心地だった厳原(いづはら)の街や港が一望できます。

  • 清水山城から見た厳原の街と港

  • 清水山城本丸東虎口

  • 清水山城三の丸

金石城(かねいしじょう)跡は、対馬の中心「厳原(いづはら)町」にあります。城は1528年に宗将盛によって清水山城の平城として建てられたものですが、石垣や堀はあるものの正式な天守閣はありませんでした。そのため大手口の櫓門を天守閣として使っていました。その後たび重なる火災で建物のほとんどは焼けてしまいましたが1990年に二重の櫓門が復元されました。敷地内には金石城搦手門跡や庭園があり見所の多いスポットとして知られています。

  • 金石城跡 二重の櫓門

  • 金石城搦手門跡

  • ©長崎県観光連盟
    旧金石城跡庭園

砲台というのは、大砲を備え、敵が攻めて来た時に自分たちの土地を守るために作られた建造物です。その一つが対馬海峡に面した美津島町にある姫神山砲台。明治34年(1901年)に作られた姫神山砲台は、日露戦争の時に敵艦が浅茅湾に侵入するのを防ぐために作られました。浅茅湾は当時、海軍の拠点として重要な役割を果たしていた場所ですが、この砲台は今は使われていないので遺構として残っています。建物はよく保存されていて、右端と左端にある観測所から海岸線や浅茅湾などが一望できます。

  • ©長崎県観光連盟
    砲兵の休憩所

  • ©長崎県観光連盟
    観測所

  • ©長崎県観光連盟
    薄暗い内部

豊(とよ)砲台跡は対馬に残っているもう一つの砲台「豊砲台」の遺構です。この砲台に設置されていた大砲は、もともとは軍艦「赤城」に取付けられていたものといわれていますが、第1次世界大戦が終わって不要になったため、1934年に日本国土の防衛のために対馬に豊砲台を建設し、そこにこの大砲を移転しました。この砲台は当時世界で一番大きい砲台の一つと言われていました。それからまもなく第2次世界大戦が始まり、それも終結すると、今度はアメリカ軍がこの砲台を解体するために爆破しましたが、砲台壁の厚さが2メートルもあったため完全には爆破できませんでした。結局その時の姿を残したまま現在に至っています。

7世紀の大古の時代から第2次世界大戦が終わるまで防衛の要として使われて来た対馬。その対馬に残る城跡や砲台跡を見ると、この島がどれほどの戦争の渦の中に巻き込まれて来たがわかりますね。今では平和な時代が訪れ、対馬は要塞ではなく観光地へと変貌しています。もう2度と対馬に城や砲台が作られることのない平和な時代が続くことを願いたいですね。

文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。

  • ©長崎県観光連盟
    豊砲台跡の外観

  • ©長崎県観光連盟
    世界最大級と言われた砲台

  • ©長崎県観光連盟
    内部構造も見学できる

掲載日: 2019/03/15
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
対馬の城跡・砲台跡
TEL
0920-52-1566(一般社団法人 対馬観光物産協会)
住所
【金田城跡】〒817-0021 長崎県対馬市美津島町黒瀬
【清水城跡】〒817-0015 長崎県対馬市厳原町西里(小字名 清水山下)
【姫神山砲台】〒817-0325 長崎県対馬市美津島町緒方
【金石城跡】〒817-0021 長崎県対馬市厳原町今屋敷670-1
【豊砲台】〒817-1723 長崎県対馬市上対馬町鰐浦

【金田城跡】〒817-0021 長崎県対馬市美津島町黒瀬

【清水城跡】〒817-0015 長崎県対馬市厳原町西里(小字名 清水山下)

【姫神山砲台】〒817-0325 長崎県対馬市美津島町緒方

【金石城跡】〒817-0021 長崎県対馬市厳原町今屋敷670-1

【豊砲台】〒817-1723 長崎県対馬市上対馬町鰐浦

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
営業時間
定休日
対象年齢
全年齢
料金
観覧料無料
アクセス
対馬へのアクセス
【空路】福岡空港から約35分、長崎空港から約35分
【海路】博多港~厳原港(高速艇)2時間15分、(フェリー)4時間40分
    博多港~日田勝港(フェリー)5時間50分
公式サイト
https://www.tsushima-net.org/tourism/castle_01.php
https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/815/
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