長崎では、凧(たこ)のことをハタと呼び、春や秋にハタ揚げを楽しみます。長崎のハタは、1600年前半ごろ、異国人によって伝えられたといわれていて、紋様もオランダ船の船旗や信号標識の旗をデザインしたようなものが多く、200を超える紋様があるそうです。その伝統のハタ作りを体験できる場所があるんですよ。
長崎市風頭町にある小川ハタ店の小川暁博さんは、手作りにこだわるこの道45年のハタ作り名人。さあ、名人に教わって自分だけのハタを作って揚げようじゃないですか。
風頭町の小川ハタ店です。ハタの資料館でもあるんですよ。
壁のハタが目を引きます。
店内に入るとさまざまなハタが目に飛び込んできます。
小川さんは、長崎市内の小学校にハタ作りの指導にでかけることも多く、指導も手馴れたもの。今回は、子どもたちが小さいので、糊付けからスタートしました。小学生になったら、骨の組み立てからチャレンジできるんだって。
実夕ちゃんは、たくさんの種類があるハタ紙から、かわいい桜が二つ並んでいる二重桜(にちょうざくら)の紋様を選びました。
ハタ作り名人が指導します。
実夕ちゃんとお父さんで、骨にのりをつけていきます。
咲夕ちゃんは、お母さんとのりづけ。
骨にのりづけをしたら、ハタ紙にセットしていきます。
それから、のりしろ部分にしっかりとのりをつけ、はり糸に沿って折り曲げていきます。
左右にひゅう(ハタのバランスを取るための紙の房)を取り付けたら完成。世界に一つしかない実夕ちゃんだけのハタです。
咲夕ちゃんは、自由にお絵描き、楽しそうです。
ハタ紙に骨をセットしていきます。
咲夕ちゃんはお絵描き。何の絵かな〜。
世界に一つだけ!実夕ちゃんのハタが完成です。
作ったら、やっぱり飛ばさないとね。というわけで、すぐそばにある風頭山へGO!でも、撮影当日は強風で、名人も「今日の風だと無理だな〜」と嘆きます。でも、やってみましょう。名人の力を借りて、実夕ちゃんとお母さんが糸を持って走ります。さあ、揚がった!と思ったら、グルグル回ってすぐ落ちてきます。咲夕ちゃんとお父さんが作った形のハタは、強風にも強いタイプらしく、揚がっています。悔しい!何とか揚げたい!ところが雨まで降ってきて、しかたなくいったん退散です。
風頭山でハタ揚げ。お父さん、揚がったよ!
実夕ちゃんは、お母さんと一緒に走ります。でも、ハタはすぐ落ちてきます。
ガッカリしている実夕ちゃん。撮影陣もどうしようか?と思っていると、名人が見かねてもう一度トライしてくれました。30分後、再び、風頭山へ。風が少し治まり、青空も見えています。名人が糸をもち、実夕ちゃんがハタを放します。一、二の三・・ヤッター!名人がすばやく糸を操ると大空に実夕ちゃんのハタが揚がっています。すぐさま名人が糸を実夕ちゃんに渡してくれました。「スゴイ!」実夕ちゃんは、興奮気味です。
もう一度、トライ。揚がるかな?
揚がった!揚がった!
初めてハタ作りとハタ揚げの体験をした実夕ちゃんと咲夕ちゃん。実夕ちゃんは、風にも負けずハタを操る名人の姿や青空に浮かぶハタを見て、感動を覚えたようです。そうそう、お父さんは単身赴任で一週間ぶりに帰ってきたそうで、「いい家族孝行ができました」と喜んでいました。
文・写真 中尾知徳
掲載日:
2018/05/16
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〒850-0803 長崎県長崎市風頭町11-2