おいしい「そば」を自分で作ってみませんか?粉からそばの麺を作ることを「そば打ち」と言いますが、対馬では地元産の「対州(たいしゅう)そば」の「そば打ち体験」ができるんです。
お話をお伺いしたのは、2000年4月にオープンした「体験であい塾匠」の幾度(きど)さおり店長。観光客など年間1万人以上が訪れ、そば打ち体験を楽しんでいる施設です(2000年度は1万1327人が来店)。
そば粉に、水を加えてこね、それを麺棒で薄く延ばして細く切る―作り方はとてもシンプル。しかし、つなぎを使わず・そば粉100パーセント、いわゆる「十割そば」は、そば本来のおいしさを味わえるのが魅力である一方で、こねてまとめるのは一苦労。そこで、そば打ち体験ではつなぎを少し加えて「九割そば」を作ります。お店の人たちにコツを教わりながら、親子でそば打ちに挑戦してみましょう。幾度店長いわく、難しいのは最初に水を加えて混ぜる「水回し」と「こね」。できあがったそばは、その場で茹でて、いただきます。自分で打ったそばの味は格別のはず!
©体験であい塾匠
対馬産のそば粉からそば打ちに挑戦してみよう!
©対馬市農林しいたけ課
対馬では、かつて、冠婚葬祭や祭りなどのため、自宅でそばを打っていたそう
©体験であい塾匠
夏は冷たく、冬は温かくしていただきます
対馬は朝鮮半島や中国大陸が近く、縄文時代後期(4000~3000年前)に大陸から最も早くそばの原種に近い品種が伝わったといわれています。冠婚葬祭や地域の祭りの際には各家庭でそばを作り、地元産の食材とともに食べられてきたとのことで、2018年には地域の伝統的な農産物ブランドを守るため農林水産省が進める「地理的表示(GI)保護制度」に登録されました。
現在も対馬市で栽培されている対州そばは、そば独特の風味があり、旨いのはもちろん、そばの原種が持つ「苦味」を感じられるのが特徴です。信州そば・戸隠そば(長野県)や出雲そば(島根県)、岩手県のわんこそばと比べると、全国的な知名度はまだまだ低いのですが、そば固有の風味、そして島でしか食べられないそばとして全国各地にファンがいるようです。
体験であい塾匠でも、去年(2020年)、通信販売で1800食が売れ、中には「そば粉を送ってください」「(粉を挽く前の)むきみでお願いします」と、おうちでのそば打ちを思わせる注文もあったそうです。そば打ち体験で作り方を覚えて、自宅で作ってみるのも楽しそうですね。
©対馬市農林しいたけ課
そばの花。夏の終わりごろ、真っ白い花が咲きます
©対馬市農林しいたけ課
「対州そば」の作付面積は約86ヘクタール、自家用を除くと島内でだいたい10トンの収穫量があるそうです
©体験であい塾匠
そばの風味を出すよう、均一に切っていきます
対馬の特産品は対州そばだけではありません!そばつゆや具に使う「しいたけ」も名産で、長崎県内の生産量の99パーセントが対馬産です。郷土料理「いりやきそば」は、地鶏や魚、そして野菜を入れた対馬独特のメニューですが、このシメはなんと言っても対州そば。対馬島内の飲食店で食べることができますので、そば打ち体験と合わせて、ぜひ、味わってみてください。
©出あい塾匠
食事処のメニュー(一例)。地元産のしいたけや地鶏スープも堪能できます
©対馬市農林しいたけ課
夏の終わりのドライブでは、そばの花咲く景色が広がる
写真提供:体験であい塾匠、対馬市農林しいたけ課
文・写真 冒険する長崎プロジェクト事務局
掲載日:
2021/06/21
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対馬市厳原町下原82-12