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冒険 070

500年の伝統!松原包丁を作ろう!

今回の冒険者
祖父:山口 和美さん
池田 穂乃香ちゃん(12歳) / 翔くん(10歳)

松原刃物は、壇ノ浦の戦いで敗れた平家の一族である名刀師が大村の松原に住み着き、松原八幡神社の境内で作ったのが起源といわれます。以来およそ500年、切れ味の良さで愛されてきた松原刃物ですが、手間がかかることから現在では、3軒が製造するだけとなっています。
今回お世話になる田中勝人さんは、田中鎌工業の四代目。伝統の技を受け継ぎ、さらに日々研鑽して生み出した刃物は海外にまで評価されています。今回は田中さんの指導でおじいちゃんと孫二人が松原包丁作りに挑戦します。
*体験は危険防止のため、通常おとなが中心です。
作業を始める前に、田中さんがあらかじめ鋼と軟鉄で鍛造した包丁の型を作ってくれています。その包丁の型を1,200度の炉の中から取り出しハンマーで広げる作業が第一段階。田中さんがお手本を見せてくれます。でも、ハンマーで打つ音があまりにも大きくてみんなビックリ!

  • 迎えてくれたのは、「田中鎌工業」の四代目、田中勝人さん。

  • 鋼と軟鉄で鍛造した包丁の型を熱する炉は1,200度!

  • 田中さんがお手本として、炉から取り出した包丁の型をハンマーで打ちます。

トップバッターは、翔くんです。ハンマーの強さと速さは吊り下げ式のペダルを足で踏むことで調整しますが、包丁の型を大きなペンチで引いたり出したりしないといけないこともあって、これが難しい!でも、田中さんが手を添えて教えてくれるのでだんだんやり方が上手になっていきます。
「包丁の背の方は軽く!真ん中、先の方は強く!だよ」と田中さん。
お姉ちゃんの穂乃香ちゃんも田中さんが優しく教えてくれるのでなんとかできました。もちろん、おじいちゃんもうまくできましたよ。

  • 翔くんがトップバッターで挑戦!吊り下げペダルを足で踏んでハンマーの強さと速さを調整するのが難しい。

  • 赤く熱した包丁の型をハンマーで広げていきます。

  • 穂乃香ちゃんも最初はうまくいかなかったけど、田中さんが優しく教えてくれるのでうまくいきました。

この後、田中さんが、みんなが作業した包丁の型をハンマーできれいに広げます。包丁の型には赤いサビのような膜ができています。これは酸化皮膜といって取り除く必要があります。洗濯機のような機械に入れてきれいにします。
膜が取れてきれいになった包丁の型を別のハンマーの機械を使ってならします。最初のハンマー打ちで慣れたのか、穂乃香ちゃんも余裕でならし作業ができるようになりました。
ならし作業を終えると田中さんが白いチョークを手にしました。
「みんなどんな形がいいかな?」
「新幹線みたいに先が丸いのがいい!」と翔くん。穂乃香ちゃん、おじいちゃんも自分の好きな形を田中さんに描いてもらい、その形に沿って大きな刃物で切断します。

  • 赤く見えるのが熱でできた酸化皮膜。これを機械で磨いて取り除きます。

  • 別のハンマーでならしていきます。

  • 大きな刃物で好きな形になるよう切断します。

形ができたら大きなグラインダーに包丁の型をあてて、研いでいきます。音もそうですが、火花が飛ぶのにビックリ!
「ホラ、こことここでは火花の飛ぶのが違うでしょ。これは材料が違うものを重ねているからなんだよ」
確かに背中は火花が大きく、お腹の方は小さいのがわかります。おもしろいね〜。
グラインダーの作業が終わると普段自分の家で使うような包丁にだいぶ近づいてきました。みんな形が違うね。
さあ、あと少しだよ。

  • グラインダーで綺麗にします。火花が飛ぶのに最初はビックリ!

  • 家でいつも使う包丁に近づいてきたね。

  • みんな形が違うね。

最後の作業は、焼入れです。800度の熱を持つ炉の中に包丁の型を入れ、タイミングを見て取り出し、一気に水の中に入れて冷やします。
「一瞬だからね。行くよ!」
田中さんと一緒に大きなペンチで型を持ち上げて一気に水の中へ!「ジュッ!」と音がしたら、すぐ取り出します。
「この作業はね、私たちは“包丁に魂をいれる”っていってるんだよ」
確かにこの緊張感は、魂をいれるって感じだね。
穂乃香ちゃんとおじいちゃんも田中さんと一緒に“包丁に魂をいれる”ことができました。
包丁作りの体験はこれで終了。後の仕上げは田中さんにおまかせします。
約1週間後に届いた包丁は惚れ惚れするような素敵な仕上がりでした。

1本、1本、手作りの松原包丁。時間も手間もかかる包丁作り体験を通して、仕事の大変さや松原包丁の素晴らしさを実感することができました。
田中さん、ありがとうございました。

文・写真 中尾知徳 

  • 焼入れの作業。800度の熱の中から取り出し、一気に水の中に入れて冷やします。

  • 水の中に入れるのは一瞬。田中さんは「魂を入れる」といっていました。

  • 後は田中さんにおまかせ。どんな包丁になるのかな?楽しみです。

掲載日: 2018/12/26
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
田中鎌工業有限会社
TEL
0957-55-8551
住所
〒856-0009 長崎県大村市松原本町371

〒856-0009 長崎県大村市松原本町371

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
あり
営業時間
9:00〜18:00
定休日
不定休
対象年齢
要相談
料金
●1名 14,000円(要予約)
アクセス
JR松原駅から車で約3分
公式サイト
http://www.e-kajiya.com/
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アクティビティタグ

この記事は KTNテレビ長崎「冒険県 冒険する長崎 プロジェクト」(毎週水曜日 22:54~23:00)で 2018/12/26 に放送されたものです。Youtube チャンネルでも配信中!
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