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考古学者になった気持ちで「一支国博物館」を訪ねてみよう!

壱岐は長崎県の北部にある島です。決して大きい島ではありませんが、長崎県で確認された遺跡の約13パーセントがこの壱岐から見つかっています。朝鮮半島に近いため、かつては対馬と並んで東アジアとの交易のための大事な拠点でした。このように長い歴史を持つ壱岐は、島全体が博物館とも言われていますが、各所から見つかったものを集めて展示しているのが「一支国博物館(いきこくはくぶつかん)」です。いったいどんなものに出会えるのか探索してみましょう!

一支国博物館は2010年にオープンした博物館です。一支国とは壱岐の昔の呼び名。中国の「三国志」の「魏志倭人伝」の中では、「邪馬台国の支配のもと『一大国』が存在した」と書かれています。この一大国が一支国、つまり壱岐のことなのです。
近代的でユニークな建築様式を持つ一支国博物館は、地上3階になっていて、さらにその上にタワー型の展望室が作られています。博物館ではこの展望室を4階と呼んでいます。屋上は波打つ丘のような形をしており、その表面に芝生が植えられています。この屋上の一角は展望エリアになっていて出ることができます。ここからは弥生時代の集落の跡で、国の特別史跡に指定されている「原の辻遺跡」や周辺の風景が展望できます。4階のタワー展望室に行くと、さらに広範囲な風景が眺望でき、同時に一支国博物館の全体の姿を上から眺めることができます。

  • ©一支国博物館
    2010年に作られた一支国博物館。屋上には芝生が植えられています。

  • ©一支国博物館
    屋上の上に作られたタワー型の展望室。

  • 出典元:ウィキペディア
    壱岐島には国指定の特別史跡「原の辻遺跡」など、たくさんの遺跡が残っています。

一支国博物館にはいくつかの展示室があります。主なものを紹介しましょう。
「魏志倭人伝の世界」のエリアには、壁にずらりと文字が書かれています。これは倭の国、つまり当時の日本について書かれた魏志倭人伝の全文です。
このエリアを進んでいくと「ビューシアター」になります。ここでは魏志倭人伝に書かれている壱岐の歴史や風土などの内容を映像で見ることができます。次のエリアは「古墳ゾーン」。ここでは壱岐島内にある「笹塚古墳」の様子を模型とCG映像で再現しています。最初にこの映像でだいたいのイメージをつかんでから実際に古墳に行って見ると、よりよく理解できるでしょう。
次の「海の王国・原の辻」展示室には当時使われていた木造古代船の実物大模型が展示されています。夏休みなどには期間限定で、バーチャル航海体験が企画されることもあります。

  • ©一支国博物館
    「魏志倭人伝の世界」

  • ©長崎県観光連盟
    「海の王国・原の辻」で展示されている木造古代船

「一支国トピック」の展示室には、原の辻遺跡を20分の1に縮小した大きなジオラマ模型が作られています。このジオラマに登場するのは、まるで生きているかのように再現された高さ約10センチのかわいらしい人形たち。椿の実を集めたり、土器を作ったり、ヤシの実で作った笛を吹く人々や農産物、海産物、土器、鉄器を物々交換する人々の様子がはっきりと表現されています。
こうした人形たちは全部で160体。そのうち42体は実際に壱岐市に住んでいる人たちをモデルにして作られたそうです。

  • ©一支国博物館
    原の辻遺跡を縮小したジオラマ模型

  • ©一支国博物館
    ジオラマでは高さ約10センチの人形が160体使われ当時の生活の様子を再現しています。

  • ©一支国博物館
    農産物や土器などを物々交換する様子

ジオラマと並んで博物館の1階にある「キッズこうこがく研究所」は、子どもたちが体験やパズルを通して考古学について学べるように用意されたコーナーです。このコーナーにはゴムチップを入れた砂場のようなエリアが作られていて、ここで発掘作業の模擬体験ができます。ゴムチップの中に土器や昔使われていたものなどの模型が埋められています。考古学者になった気持ちで発掘してみましょう!
その他、パズルもいくつか用意されています。その中でも特にユニークなのが土器の接合パズルです。立体的な土器にバラバラになったパズルのピースを合わせて元の形を組み立てます。

  • ©一支国博物館
    「キッズこうこがく研究所」では発掘模擬体験ができます。

  • ©一支国博物館
    いろいろなパズルも楽しめるよ。

  • ©一支国博物館
    土器の接合パズルはとてもユニーク

一支国博物館では、その他、一支国の王様や占い師、また海外から来た人が来ていた衣装を試着できます。気に入った衣装を着て記念写真を撮ると良い思い出になりますね。
展示されているものの一つに、目と口の穴を開けただけの簡単な石のお面のように見える「人面石」があります。展示されている人面石は、2001年に原の辻遺跡から唯一発掘されたもので、国の重要文化財に指定されています。人面石は弥生時代に祭祀で使われていたと考えられています。この貴重な発掘物を壱岐のゆるキャラにしたのが「人面石くん」です。ミュージアムショップの前に置かれた看板に使われたり、お土産の「人面石クッキー」も人気です。

壱岐の歴史がぎっしり詰まった一支国博物館。数多い展示物や映像を見たり、発掘体験やパズルで遊んだりすれば、遠い昔にタイムトリップできますね。
一支国博物館ではその他、さまざまなイベントも開催されています。イベントの詳しい内容は公式サイトで確認してください。

  • ©一支国博物館
    一支国博物館では昔の人が着ていた衣装を身に着けることができます。

  • ©一支国博物館
    人面石は祭祀に使われました。

  • ©一支国博物館
    壱岐のゆるキャラ「人面石くん」

写真提供:一支国博物館、長崎県観光連盟ほか
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。

掲載日: 2020/11/09
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
一支国博物館
TEL
0920-45-2731
住所
〒811-5322 長崎県壱岐市芦辺町深江鶴亀触515-1

〒811-5322 長崎県壱岐市芦辺町深江鶴亀触515-1

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
普通車:98台
障害者用:3台
大型観光バス:7台
営業時間
8:45~17:30(最終入館 17:00)
定休日
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日休館)
※GWおよび夏休み期間は無休
※12月29日~31日 休館
対象年齢
全年齢
料金
博物館の入館は無料
※常設展示室観覧料
一般410円、高校生310円、小中学生210円
アクセス
壱岐空港・芦辺港からそれぞれ車で約15分
公式サイト
http://www.iki-haku.jp/
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