本山さん親子がやってきたのは、西海市大瀬戸町の「音浴博物館」。森の中に昔の校舎のような建物が建っています。
それにしても、「音浴(おんよく)」って、どういう意味だろう?
本山さん親子を迎えてくれたのは、高島正和さんです。
「ここはおもしろいものがいっぱいありますよ。楽しんでください」
館内を巡るガイドツアーの始まりです。
エントランスホールで高島さんが「音浴博物館」の歴史を教えてくれます。
「ここはもともと小学校の分校だったんですが、児童の減少で廃校になり、その後、ベトナム難民援護施設として利用されました。平成13年に初代館長の故 栗原榮一朗さんが持っていた膨大なレコードを元に音浴博物館をスタートさせました。音浴博物館とはその名の通り、音を心と体で浴びて、癒される空間です」
森の中にたたずむ昔の校舎のような「音浴博物館」です。
エントランスホールで高島正和さんが「音浴博物館」の歴史を紹介。
歴史を紹介する写真。右下の写真が初代館長の故 栗原榮一朗さんです。
それでは、音浴の世界へ。
高島さんが解説したのはエジソン式蓄音機(円筒状の缶に音の溝を刻み込んで、それを針で読み取り増幅するもの)です。
「100年以上前に作られたエジソン式蓄音機。これは手回しで聴きますよ」
高島さんがハンドルを回すと音楽が流れます。
100年以上前に録音された音に和くんも不思議そうな顔で耳を傾けます。
次は画面が光る箱型の前に。内部にはたくさんのレコードが入っているそうです。
「これはジュークボックス、中に入っているレコードを機械を使って連続して曲をかけられるんですよ」
お父さん、お母さんも見たことがないようで、興味津々です。
100年以上前に作られたエジソン式蓄音機です。
今でも音楽が聴けます。和くんも不思議そうな顔で耳を傾けます。
これがジュークボックス。機械式で連続して曲がかけられます。
エントランスホールから「蓄音機の館」へ移動します。
まずはちょっと音楽とは関係のないものを・・・。
「これは何かわかるかな?」
高島さんが指さしたのは黒電話。
「どう使うかわかるかな?」
大雅くんは、戸惑いながら受話器を持ち、ダイヤルを回します。
「ダイヤルは最後まで回すんだよ」
プッシュホンや携帯電話しか知らない子どもたちにとっては新鮮です。
次は、何かな?
「これはレコードをかける蓄音機です」
もちろん、子どもたちはレコードや蓄音機など知るはずもありません。
高島さんが一枚のSPレコード(初期の頃のレコード)を蓄音機にかけます。
「ここでは自由に聴いていいんですよ」
童謡が流れる中、見渡すと棚を埋め尽くさんばかりのSPレコードが。その数、約1万枚だそうです。
SPレコードもそうですが、手回しの蓄音機が60台、日本最初のテープレコーダー、大正時代からの楽譜や雑誌など、膨大な収蔵物に圧倒されるばかりです。
「蓄音機の館」には、電話機が。大雅くんが戸惑いながらダイヤルを回します。
蓄音機にSPレコードをかけます。ここでは自由に聴くことができます。
約1万枚のSPレコードをはじめ、収蔵物に圧倒されます。
まだまだガイドツアーは続きます。
やってきたのは、これまた天井まで届くかのような棚いっぱいにレコードが詰まった「LPホール」です。
「ここには、LP・シングル合わせて約15万枚のレコードがあります」
(LPレコードは、技術の進化によりSPレコードよりも長く録音できるようになったレコード。)
15万枚ですって!本山さん親子もビックリです。
「ここでも自由にレコードを聴くことができます。ただし、自分でレコードをかけ、聴き終わったら元にあったところに戻すこと」
大雅くんが人生初のレコードかけに挑戦します。選んだのは1974年リリースされたフィンガー5の「学園天国」。
「レコードは盤面に指が触れないように気をつけて」
大雅くんは緊張しながらレコードをターンテーブルに置き、回転する盤面に針を下します。
すると、ノリノリの音が流れてきて・・・。
ホッとした大雅くんは、踊り出します。
それを見たみんなも大笑いです。
LPホールを良く知っている人は、じっくり聴くためにお弁当を持ってやってくる人もいるそうですよ。
「LPホール」には、LP・シングル合わせて約15万枚あり、自由に聴けます。
大雅くんが恐る恐るレコードをターンテーブルに置き、針を下ろします。
曲に合わせて踊り出した大雅くん。みんなも大笑いです。
ガイドツアーの最後は、「イベントホール」です。
正面にはたくさんのアンプとスピーカーが並んでいます。
「ここでは現代と昔のスピーカーの音の聴き比べができます」
本山さん親子が椅子に座ると、高島さんが1枚のクラシックレコードをかけます。
スピーカーから出た大音響が本山さん親子を包みます。
「これが現代のスピーカーの音・・・、次に30年前のスピーカーの音・・・」
高島さんがスイッチを切り替えると、お母さんと大雅くんが顔を見合わせます。
「音が違う!」
「全然違う!」
現代のスピーカーの音はハッキリしているのに、昔のスピーカーの音はゆったりして、柔らかい感じがします。
スピーカーの中には、世界中探してもないような珍しいスピーカーもあるそうで、音楽ファンにはたまらない空間です。
「自分の手でレコードをかけ、デジタルにはないアナログの味のある音を心と体で聴けるのが音浴博物館です」と高島さん。
音を浴びる、まさにサウンドシャワーの感覚が味わえる「音浴博物館」でした。
※2020年3月22日に撮影しました。
ガイドツアーの最後は「イベントホール」です。
いろいろなスピーカーの音の聴き比べができます。
「音が違う!」「全然違う!」スピーカーの音の違いがハッキリわかります。
文・写真 取材ディレクター 中尾知徳
掲載日:
2020/06/03
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