長崎は日本の中でも中国文化の影響を強く受けている所です。その文化に触れることのできるのが長崎市内にある長崎新地中華街と長崎孔子廟。今回はこの2つのスポットをご紹介したいと思います。
長崎新地中国街は、長崎ランタンフェスティバルのメイン会場として有名な湊公園と道路を隔てた反対側にあります。海を埋め立て作られたため「新地」という名前が付きました。このエリアの中央に、東西120メートル、南北140メートルの十字路があり、この十字路に沿って中華料理店や中国雑貨のショップなどが立ち並んでいます。十字路のそれぞれの入口には「中華門」と呼ばれる色鮮やかな門が建っているので一目で中華街だとわかります。通りに並ぶ店にもカラフルな看板が付いているので、中華街を歩くと、やはり日本の他のエリアを歩くのとは違った独特な雰囲気を味わうことができます。特に夜になると、食事をするためにたくさんの人がやってきます。ネオンもついてとてもにぎやかになりますよ。
中華街の4カ所の入口には色鮮やかな中華門が建っています。
中華街は十字路になっていてその通りにそって中華料理店やショップが並びます。
夜になるとたくさんの人が食事にやってきます。
新地中華街では、様々な中華料理を食べることができます。レストランでは、円いテーブルの真ん中にターンテーブルを置いている所が多いですね。中華料理にはシェアする食文化があり、料理をシェアしやすいようにターンテーブルに乗せそれを回すことによって好きなものが取れるようにしています。
新地中華街で食べられるもので長崎の名物として知られているのが「長崎ちゃんぽん」と「皿うどん」。長崎ちゃんぽんは純粋な中華料理ではなく、中国の福建省の料理を基にして、昔長崎に住んでいた中国人留学生のために工夫して作られた料理です。というのも、留学生なのでそんなにお金がない、だから安くて、しかもしっかり勉強できるように栄養価が高いものとして考え出されたと言われています。「いろいろな物を混ぜる」ことを意味する「ちゃんぽん」の通り、長崎ちゃんぽんには肉、野菜、かまぼこなど十種類以上の食材が使われ、スープに豚骨や鶏がらなどを使っているので濃厚で栄養価が高くしかもおいしい料理です。
皿うどんには、細麺と太麺を使った2種類があります。細麺は1ミリほどの細い面を油で揚げたものに餡がかかっていて、太麺はちゃんぽん麺を使っています。皿うどんにも肉、野菜、かまぼこなどが入っています。
ターンテーブルでシェアしながら食べる中華料理
昔長崎の中国人に留学生のために作り出された「長崎ちゃんぽん」
皿うどんには「細麺」と「太麺」があるこの写真は細麺を使ったパリパリの皿うどん
孔子廟(こうしびょう)は儒教を広めた孔子の霊を祀っている所です。長崎市内にある長崎孔子廟は1893年に清国政府と在日中国人によって建てられたもので、日本にある孔子廟の中でも伝統的な中国の建築様式を持つ建物として称賛されています。
「儀門(ぎもん)」と呼ばれる孔子廟の正門には出入り口が3か所あります。真ん中の出入り口は伝統的には神様と皇帝だけしか通ることが許されていません。そのため、普通の時は閉じられているのですが、特別な時に開かれることもあり、その時は一般の人も通ることができます。
孔子廟では、毎年9月に孔子の誕生日を祝う「孔子祭(こうしさい)」が開かれます。誕生日の儀式が行われ、中国獅子舞などが披露されます。2019年の孔子祭は9月14日(土)に開かれます。
伝統的な中国の建築様式を持つ孔子廟
©長崎県観光連盟
孔子廟の正門「儀門(ぎもん)」
孔子廟の敷地内には注目すべき彫刻がいくつか見られます。儀門(ぎもん)を通るとすぐ目に入ってくるのがずらりと並んだ72の賢人像。これらの像は大理石でできていて、1体 約1.5トンという重さ。孔子の72人の弟子を表現したもので、同じ顔をした像はなく、帽子など身に付けている衣装も微妙に違っています。一つ一つじっくり観察してみるとおもしろいでしょう。
建物の屋根の作りもよく観察すると、ユニークなものがいくつか見つかりますよ。まず儀門を通り抜けたら、後ろを振り向いてください。今通ったばかりのその門の上の真ん中に福禄寿の像が置かれています。福禄寿は七福神の一人で福を招くと言われる神様です。
それから、屋根の形をよく見ると反った部分があります。その部分に龍、鳳凰(ほうおう)、麒麟(きりん)などの勇ましい動物の像が飾られているのがわかります。屋根に使われている瓦は「瑠璃瓦(るりがわら)」と呼ばれ、中国から運ばれてきたものです。
©長崎県観光連盟
72人の賢人像。すべて顔が違う!
孔子廟・中国歴代博物館の屋根に飾られた七福神
龍の彫刻が付いた瑠璃瓦の屋根
孔子廟の敷地内にある大成殿は120年の歴史を持つ建物。この中に孔子像が祀られています。孔子は学問の神様として敬われているので、受験などを控えている人は大成殿で線香かロウソクを買って合格祈願をするとよいでしょう。
大成殿の奥に進むと「中国歴代博物館」があります。1983年に、日中友好と文化交流の目的で建てられたものです。ここには、中国の国宝「国指定一級文物」に指定されている美術品などが見られるんですよ!展示内容は2〜3年毎に入れ替わるので、展示が新しくなった時は見逃さないように見に行きましょう。
長崎市内で中国文化を体感できる2つのスポット「長崎新地中華街」と「長崎孔子廟・中国歴代博物館」について詳しい内容をお伝えしました。中華街ではにぎやかな雰囲気とおいしい中華料理を味わい、孔子廟では学問の神様からパワーをもらい、中国歴代博物館で中国の一級の美術品を鑑賞することができます。ぜひ出かけて、日本にいながら中国文化を楽しんでください。
写真提供:長崎県観光連盟ほか
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。
©長崎県観光連盟
大成殿の内部。孔子像が置かれています。
中国歴代博物館の展示の様子。中国の国宝が展示されている。
掲載日:
2019/08/05
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
【長崎新地中華街】〒850-0842 長崎県長崎市新地町10-13
【長崎孔子廟】〒850-0918 長崎県長崎市大浦町10-36