今回の冒険の舞台は長崎市立山にある長崎歴史文化博物館です。
長崎歴史文化博物館は、長崎の歴史や文化に関する貴重な資料を収蔵・展示していますが、伝統工芸の体験もできるんですよ。
和室の会場で仁田さん親子を迎えてくれたのは、長崎刺繍再発見塾の塾長、嘉勢路子さんです。
「今日は長崎刺繍を体験してくださいね」
長崎刺繍は、江戸時代中国から伝わり、長崎で独自の発展を遂げた刺繍です。
初心者でも気軽に刺繍体験ができるよう体験キットが用意されています。
今日は壁飾りにもなる桜の花の刺繍で、好きな色の台紙を選びます。
今回の冒険の舞台は長崎市立山にある長崎歴史文化博物館です。
仁田さんを迎えてくれたのは、長崎刺繍再発見塾の塾長、嘉勢路子さん。
壁飾りにもなる桜の花の刺繍を体験!好きな色の台紙を選びます。
指導していただくのは、お母さんは塾生の杉本さん、樹希ちゃんは松本さんです。
体験では、刺繍台、手打ち針などの道具、絹糸、絹生地などの材料は、塾生の皆さんが普段使用されているものを使用します。
糸は京都から取り寄せ、塾生の皆さんが縒り(より)をかけているんですって。
「花びらが5枚ありますが、3枚はもう刺繍しています。残りの2枚を刺繍しましょう」
針に糸をつけて、まず膨らみを持たせるため、花びらの輪郭の内側に3本の線を縫いつけます。横に3本縫えたら、今度は縦に縫っていきます。
「針はできるだけ真っすぐに刺してね」と針を刺す位置を示します。
樹希ちゃんが挑戦しますが、下から針を刺すのが難しい!
どこに針があるのかわからない!
針を刺す位置を確認するために台の下から覗き込もうとします。
「あのね、針でチョンチョンと刺してごらん。そうすると針の位置がわかるしょう?位置がずれていたら、少しずつ移動させればいいよ」
なるほどと思ってはいても、針を持つのが初めての樹希ちゃんは四苦八苦です。
塾生の皆さんに指導していただき体験を始めます。
花びらが5枚あり、刺繍してない2枚を刺繍します。
花びらに三本線ができたら、縦に縫っていきます。
時間をかけながら樹希ちゃんが刺繍していきます。
「そうそう、上手!上手!」
一針、一針、目を凝らしながら縫うのは集中力がいりますね。
さすがにお母さんは樹希ちゃんよりスイスイと縫っていきます。
刺繍体験をしている和室の会場は、長崎再発見塾の皆さんの研修の場でもあります。
「長崎再発見塾は長崎市が行なっている長崎伝習所の事業として平成14年度に始まり、この長崎歴史文化博物館の開館と同時に一般の方に体験していただいたり、先生(長崎刺繍の技術を受け継ぐ唯一の職人 嘉勢照太さん)の指導を受けながら、技術の伝承を目的として活動している団体です。もう20年になりますね」と嘉勢塾長。
塾ではこれまで長崎くんちの傘鉾(かさぼこ)などを制作してきましたが、現在作っているのは2025年に開催される「ながさきピース文化祭2025」で披露されるオペラ「蝶々夫人」の衣装です。
「たぶん、これが私たちの集大成となるんじゃないでしょうか?」
色鮮やかで立体的な長崎刺繍に目を奪われます。
一針、一針、目を凝らしながら縫うのは集中力がいりますね。
「ながさきピース文化祭2025」のオペラ「蝶々夫人」の衣装を制作しています。
色鮮やかで立体的な長崎刺繍に目を奪われます。
会場には、江戸時代の絵師 川原慶賀が描いた「曲芸の図」をもとに制作した長崎刺繍が飾られています。
塾生の杉本さんが言います。
「長崎刺繍は長崎くんちなどでお馴染みですけど、中に綿を入れたり、こよりを縒(よ)って入れたり、立体的ですね。また錦糸(きんし)などもたくさん使いますね」
お話を聞いている間に花びらの刺繍が終わりました。
「はあ〜!」と樹希ちゃん。
ちょっと疲れたよね、一休みしよう!
次に糸の色を変えて、花びらの真ん中に縦に「しべ」を刺繍します。
「しべ」が終わると、「花粉」をつけます。
先に完成させたお母さんが見守る中、一心不乱に刺繍を続けます。
江戸時代の絵師 川原慶賀の絵をもとにした長崎刺繍が飾られています。
花びらの刺繍が終わると糸の色を変えて「しべ」を刺繍します。
「しべ」が終わると、最後に「花粉」をつけます。
ハサミで糸を切って「ア〜、できた!」と塾生の松本さん。
「やった〜!」
樹希ちゃんも嬉しそうです。
最後は塾長に仕上げをしてもらいます。
刺繍部分に糊をつけて満遍なく塗ったら、アイロンで蒸気をかけ、アイロンを当ててきれいに整えます。
艶(つや)が出てキレイな桜の花が完成しました。
「初めて針と糸を使って、難しかったけど、キレイな桜の花ができて良かった」と樹希ちゃん。
お母さんは、「おくんちの長崎刺繍とか、一針、一針、丁寧にされていて大変な仕事だなあと思いました」
長崎刺繍の技術の習得には、長い時間がかかります。長崎刺繍再発見塾の活動が長崎の大切な伝統芸能の継承につながるといいですね。
文・写真 取材ディレクター 中尾知徳
「あ〜、できた!」と松本さん、「やった〜!」と樹希ちゃんも嬉しそう!
最後は塾長に仕上げをしてもらいます。
キレイな桜の花が完成しました!
掲載日:
2025/01/15
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