新緑がまぶしい季節。
長崎ペンギン水族館へと続く約185メートルのプロムナードには「ビオトープ」が作られていて、水辺の植物や生き物の姿を観察することができます。
こぽこぽと流れるせせらぎを耳にしながら、緑のトンネルを進むととってもいい気持ち。小さな森、小川にかかる橋を渡るのも小さな冒険気分。今回の「冒険」は、ビオトープの世界を眺めてみましょう!
「ビオトープ」とは、「生きもののすみか」という意味
ペンギン水族館のビオトープは、2001年の開館にあわせて「自然体験ゾーン」として整備されたもので、長崎の里山の環境を再現しています。そこには、小さな森があり、田畑があり、川が流れ、そして海につながっていきます。果樹園、湿地、棚田。小さな長崎の自然風景が広がります。200種類以上の植物、およそ100種類の昆虫や野鳥などがいて、中には絶滅危惧種に指定されている希少な動植物も見ることができるそうです。
長崎ペンギン水族館の第1駐車場から建物へと続く小道がビオトープとなっています。
ビオトープでは「長崎の里山」の環境を再現。常緑・落葉樹林や湿地、池や小川を見ることができます。
木漏れ日を感じながら、この道を歩くだけで気持ちがいい!
風薫るこの季節、ビオトープで目にしたのは、色鮮やかに咲くカキツバタ。そして、長崎の初夏と言えばやっぱりビワ!だいぶん、色づいています。
古くは『万葉集』にも詠まれたカキツバタ。花言葉は「幸運は必ず訪れる」とのことで、深い青や濁りのない白色の花を見ているだけで、何だかハッピーな気分になってきます。棚田のエリアでは、カキツバタに似たハナショウブも咲くとのこと。どこが似ているのか、どこが違うのかよーく観察してみたいところです。
そして江戸時代から長崎でも栽培されているビワ。最近ではハウス栽培も多く見られますが、長崎では家の庭や畑の角などにも植えられていました。年末から冬にかけてクリーム色の花が咲き、5~6月に瑞々しく甘い実を付けます。
ほかにも、モモやウメ、ヤマザクラの木にも小さな実を見つけましたよ。ほかにはどんな実がなっているのか、探してみてね。
水辺に鮮やかに咲くカキツバタ。5月らしい風景です。
今年のビワは甘いかな・・・?
小道沿いではウメやモモなどに交じって、長崎伝統のかんきつ類「ゆうこう」の木も見つけました!
今度は、水辺に目を向けてみましょう。
水の上をすいすいと泳いでいるのは、アメンボ。まだ、オタマジャクシはいないもよう。環境省の「レッドリスト」で絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)に指定された「ミナミメダカ」も見ることができるそうです。
あれ??草むらで何かごそごそと・・・よーく見てみると赤ーい小さなカニ!これはアカテガニでしょうか。私に見つからないようにとゆーっくり、ゆーっくりと草の蔭から水辺の岩の下に隠れてしまいました。まるで、かくれんぼをしてるみたい。カニさんを驚かさないように静かに観察してみましょう。
そして、スイレンの葉にとまっているのは、小さくて細いクロイトトンボ。ビオトープではオニヤンマやベニイトトンボなど数種類が飛ぶ姿をこれから、秋ごろにかけて見ることができます。
水辺をのぞいてみよう!
草陰に・・・赤いカニ!動くと隠れてしまって、写真を撮るのが難しいー。
小さな生き物がいっぱい。
ビオトープでは、これから夏にかけてセミやカエルなどが姿を見せます。季節によって、飛び交う昆虫たちや咲く花、木々の様子が変わっていくんですね。
そして、ビオトープのあちらこちらには、そこにすむ生き物について書かれた説明板が立てられています。どんな動植物がいるのか、説明も参考にしながら、頭の上から、足元までよーく探して、観察してみてね。
水辺では足を滑らせるなどの事故がないよう十分に気を付けて、ビオトープの世界を楽しんでください!
どんな生き物がいるのかな。説明板もチェックしてみよう。
小さな橋を渡るのも冒険!でも、けがや事故のないように気を付けて!
ビオトープを抜けると、ペンギン水族館に到着!
文・写真:長崎はな
長崎生まれ。長崎で好きなものは、お刺身、一口餃子、対馬のはちみつ、佐世保バーガー、島原のかんざらし、諫早のうなぎ、チリンチリンアイス・・・。旅好き、食いしん坊が長崎県内をめぐります!
掲載日:
2022/05/24
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長崎市宿町3-16