「波佐見町」は長崎県の中で唯一海に面していない内陸の町です。江戸時代から波佐見焼で有名な所ですが、焼き物以外にも興味深い見どころがたくさんあります。さあどんなものに会えるのかな?さっそく探索に出かけてみましょう。
波佐見町の南東部には、「鬼木棚田」と呼ばれる棚田があります。何十段にも重なる棚田の風景は実に見事。その美しさから「日本の棚田百選」に選ばれています。毎年9月になると「鬼木棚田まつり」が開かれ、案山子(かかし)コンテストや棚田ウォークラリー、枝豆収穫祭などのイベントが行われます。案山子コンテストでは、工夫を凝らした案山子が100体以上出展され集まった人の目を楽しませてくれます。おまつりの詳しい内容は、開催日が近づいて来たら公式サイトで確認してください。
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「日本の棚田百選」に選ばれている鬼木棚田。
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季節によって違う顔を見せてくれます。
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「鬼木棚田まつり」では案山子コンテストなどのイベントが開かれます。
鬼木棚田と同じエリアにあるのが「鬼木加工センター」。ここは、地元の農家の主婦たちが集まっていろいろな農産物を加工して販売している所です。加工しているのは、地元産の大豆や野菜などの農産物を使った、鬼木みそ、鬼木清流漬、梅干し、柚子胡椒、かりんとうなどです。こうした特産物は、波佐見町内にある「くらわん館」でも販売されています。波佐見町のお土産に買って帰るといいですね。
大きくがっしりとした木造の建物「旧波佐見中央小学校講堂兼公会堂」。和洋折衷の正面ポーチがユニークです。1937年に建てられたこの建造物は、現存する木造洋館として大変貴重な存在になっています。2010年にはその価値が認められ国の有形文化財に指定されました。中央小学校の他の建物は別の所に移転改築され、現在はこの講堂兼公会堂だけが残っています。建物の中はかなり広く、教会を思わせるような雰囲気が漂っています。
2018年までに改修工事が施され、コンサートなどのイベント会場としても活用されています。
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和洋折衷のユニークなポーチのある「旧波佐見中央小学校講堂兼公会堂」
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木造のこの建物は、2010年に国の有形文化財に指定されました。
波佐見町には、県の無形民俗文化財に指定されている「皿山人浄瑠璃」の伝統が残っています。この人形浄瑠璃は、江戸時代に大飢饉が起こった時に、それまで生活の糧にしていた焼き物が売れなくなり生活に困ったために始めたものだと言われています。人形浄瑠璃を始めた人々はあちこちに出かけ、公演することで、食べ物をもらってなんとか飢えをしのいだそうです。今では、波佐見町の伝統文化として定着し、例年8月には、皿山大神宮にある人形会館で奉納公演が開かれます。
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皿山人形浄瑠璃の奉納公演が開かれる人形会館。
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この人形浄瑠璃は江戸時代に起こった飢饉で生活に困った人々が始めたものだと言われています。
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舞台仕掛けも凝っています。
波佐見町を探索した後は、2010年にオープンした温泉「湯治楼(ゆうじろう)」で一休みするのはどうでしょう。この温泉には3つの内風呂と露天風呂があります。内風呂はどれも源泉かけ流し。お湯の温度が低めなので子どもでも楽しめますね。この温泉の敷地内にはレストランがあり、温泉の向いには素泊まり宿があります。1泊してゆっくり過ごすのも一案かもしれません。
焼き物の町として知られる「波佐見町」。でもそれ以外にも興味深いものに出会えることがわかりますね。美しい風景を楽しめる棚田や国の有形文化財になっている旧小学校の講堂、そして伝統ある人形浄瑠璃など、ぜひ探索に出かけてみてください。
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はさみ温泉「湯治楼」は2010年にオープンしました。
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温泉には内湯と露天風呂があります。
写真提供:長崎県観光連盟、波佐見町
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。
掲載日:
2020/05/09
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
【鬼木棚田】〒859-3713長崎県東彼杵郡波佐見町鬼木郷
【鬼木加工センター】〒859-3713長崎県東彼杵郡波佐見町鬼木郷990-5
【旧波佐見中央小学校講堂兼公会堂】〒859-3711 長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2196-2
【皿山人形浄瑠璃人形会館】〒859-3727 長崎県東彼杵郡波佐見町皿山郷皿山大神宮
【はさみ温泉】〒859-3725 長崎県東彼杵郡波佐見町長野郷558-3