長崎県対馬市は島全体の約90パーセントを森林が占めている自然豊かな島です。対馬は九州と朝鮮半島のちょうど真ん中の位置にあり、そのため古来より貿易や国防上非常に重要な島とされていました。最近ではテレビ番組や旅行サイトなど多くのメディアで取り上げられ、国内外問わず注目を集めている魅力的な島です。
対馬は非常に自然豊かな島なので植物をはじめ、様々な動物が生息しています。有名な動物を挙げるとすればツシマヤマネコやツシマジカ、2017年にはカワウソの姿が確認されました。
大昔には朝鮮半島と陸続きだったとされており、その影響で朝鮮半島などの大陸と、九州本土の生態系が混ざった特殊な生態系が形成されています。
対馬に生息する動物の他にも野鳥などが対馬の上空を超えていくことが多いことから、野鳥観測に適している場所でもあります。時期によって見られる野鳥の種類も違うので、年中様々な野鳥を観察することができます。そのため、島内にはいくつかの展望所があります。今回は下対馬地区の内山峠について紹介します。
内山峠の頂上には展望台があります
頂上の展望台からの眺めは最高です
内山峠には木で作られた立派な展望台があり、ここで観察できるアカハラダカという鳥の名前から「アカハラダカ観測所」と呼ばれることがあります。
頂上付近までは車で登ることができるため、子ども連れでも気軽に頂上からの景色を眺めることができます。展望台からは対馬で一番標高の高い矢立山や龍良山などの山々や日本海を一望することができます。
アカハラダカは冬を越すために毎年9月ごろ、朝鮮半島から対馬を通過し東南アジアに渡ります。内山峠では多い日には1日で4万羽以上観測できた日もあり、1999年の飛翔調査では約44万羽を超えるアカハラダカが観測されています。そのため、内山峠展望台は国内でも人気のアカハラダカ観測所となっており、毎年9月ごろには全国から大きなカメラと三脚を持ったカメラマンが多く訪れています。この時期に内山峠に行くのであれば双眼鏡などを持っていくとアカハラダカの観察を楽しむことができます。
展望台は木造でしっかりとした作りになっています。
展望台には壁面に案内板などがある為自然について学ぶこともできます。
内山峠は朝日と夕日の両方が楽しめる場所としても有名です。展望台からは日本海を眺めることができるので、毎年元旦には水平線から登る初日の出を見ようと島内から多くの人が訪れます。
展望台から西の景色は連なる山々ですので、山の影に入った夕日が光の筋となり非常に幻想的な景色になります。
また空に雲があれば徐々に茜色に染まっていく夕焼けもまた絶景です。島内でも朝日と夕日を同じ場所で楽しむことができる場所はなかなかありません。
水平線から登る朝日は非常に美しいです
反対の空には山に沈む夕日を見ることができます
対馬といえば空気が澄んでいることでも有名です。そのため、天気の良い日には島内各所で天体観測を楽しむことができますが、特に内山峠は標高の高い山の頂上であり、さらに街灯などの光が全くないので天体観測にもってこいの場所です。
しかし、夜の展望台に行く際には足元なども暗くて視界が悪いので懐中電灯は必ず持っていくようにしましょう。また、展望台は風も強く平地よりも寒く感じることがありますので、秋冬に訪れる際には上着を余分に持っておくことをおすすめします。駐車場横に簡易トイレがありますが、あまり使われていませんのでなるべくトイレなどは済ませておきましょう。
朝から夜まで対馬の魅力を幅広く楽しむことができる素敵な場所ですので対馬に来られる際はぜひ内山峠へ行ってみてください。
時期によっては綺麗な天の川を見ることができます
海にはイカ釣り漁船の漁火が輝きます。これも対馬ならではの景色です
駐車場は展望台を挟んで2か所にあります。
文・写真 Nehitsuzi_landscape 対馬在住のカメラ男子。対馬の美しい風景を紹介します。
掲載日:
2020/04/28
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
長崎県対馬市厳原町内山地区