五島のシンボル、鬼岳の中腹にある「鬼岳四季の里」。お土産品の販売や五島うどんなどの食事ができる施設ですが、体験講座も行っています。
川辺さん親子を迎えてくれたのは、田中英人さんです。
「今日は、椿油作り体験をやってもらいましょう。五島には椿の木がたくさん生えていて、昔から椿油が作られていました。皆さん、椿の実と種って見たことがありますか?」
川辺さん親子が首を横に振ると、田中さんが指差したのは、赤い実と茶色の種です。
「赤いのが実。茶色いのが種です。実は秋に収穫し、中に入っている種を取り出して乾燥させておけば、いつでも椿油が作れます。さあ、昔ながらの椿油作りをやってみましょう」
五島のシンボル、鬼岳の中腹にある「鬼岳四季の里」です。
川辺さん親子を迎えてくれた田中英人さんから椿油作りを教わります。
乾燥させた椿の種を椿油づくりに使います。
颯真くんが、椿の種をフライパンで炒めます。熱を加えることで油が出やすくなるそうです。
次に親子3人が協力して石臼を使って種を砕きます。
「できるだけ細かく砕いてくださいね」
とはいうものの、中腰状態でずっと杵を使っていると、大変です。すぐに汗が噴き出してきます。
途中休憩しながら30分ぐらいすると、ずいぶん細かくなりました。
川辺さん親子が砕いたのはフライパン1杯分です。これだけでは量が少ないため田中さんが既に用意していたものを加えて、さらに砕きます。
「油が出てきてしっとりする感じになるまでお願いします」
ただひたすら川辺さん親子が砕きます。その間、
「椿油は、整髪料や食用とかに使われてきましたけど、最近は化粧品としても有名ですね」
田中さんが椿油に関する話題をいろいろ教えてくれます。
颯真くんが椿の種をフライパンで炒ります。
石臼を使って砕きます。できるだけ細かく砕くのがコツですが、キツイ〜
油が出てきてしっとりする感じになるまで砕きます。
粉末状になったら鍋に入れ、水と一緒に煮ます。
30分ぐらいすると十分に煮あがり、油と水が分離し、表面に油分が浮いてきます。
「なるべく油分だけを掬ってね。熱いから気をつけて」
颯真くんが、お玉を使って油分だけを慎重に掬い田中さんが持つ濾し袋に注ぎます。
粉末状になったら鍋に入れ、水と一緒に煮ます。
油と水が分離し、表面に油分が浮くまで煮ます。
油分だけを掬って慎重に濾し袋に注ぎます。
田中さんがギュッと濾(こ)し袋を搾ります。濾しとった汁はフライパンに入れて弱火でかき混ぜながらゆっくりと水分を飛ばします。
約20分、フライパンを熱すると、
「そろそろできますよ」と田中さん。
突如、泡が消え、油が現れました。
不思議な現象に川辺さん親子が「うわあ〜!」と声をあげます。
この段階では、まだ不純物が残っているので、最後にキッチンペーパーで濾すと、きれいな黄金色の椿油のできあがりです。
田中さんが濾し袋をギュッと搾ります。
フライパンに入れて弱火でかき混ぜながら水分を飛ばすと、油が現れます。
不純物を濾すと、きれいな黄金色の椿油のできあがり!
椿油で揚げたかきあげを田中さんが用意してくれました。
てんぷらが苦手といっていた颯真くんでしたが、「おいしい!」とびっくりした様子。
お母さんは、「石臼で砕く苦労が、最後に報われた感じ!」と満足そう。
昔ながらの椿油作りがいかに大変だったか、そして椿油のおいしさを実感した川辺さん親子でした。
文・写真 取材ディレクター 中尾知徳
椿油で揚げたかきあげを田中さんが用意してくれました。
一味違う椿油は、てんぷらが苦手な颯真くんもおいしく食べられます。
昔ながらの製法で作る椿油は、大変な苦労があることがわかりました。
掲載日:
2019/08/21
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