長崎市から五島へやってきた川辺さん親子が向かったのは、福江島北東部の戸岐町半泊。「半泊」という地名は、江戸時代、キリシタン弾圧を逃れてやってきた人たちが土地が狭いため、半数だけとどまったことが由来だそうです。
撮影当日は雨模様でしたが、それでも半泊湾の海の青さに感動!このきれいな海水を利用して塩を手作りしているのが、「さとうのしお」です。
迎えてくれたのは、佐藤洋夫さん。退職後、13年前にこの地に移り住み、試行錯誤しながら塩作りを始めたそうです。
「簡単に言えば、海から汲み上げた海水をひたすら煮詰めれば塩ができるわけですが・・」
もちろん、簡単に作れるわけではないですよね。
それでは、塩作りを見せてもらいましょう。
五島市戸岐町の半泊地区。あいにくの雨模様でも海の青さがわかります。
道路沿いに手作りの看板が。「さとうのしお」っておもしろいですね。
川辺さん親子を迎えてくれた佐藤洋夫さんです。
レンガ造りの釜がある建物へ案内してくれた佐藤さん。
「ここで釜に火を入れます。とにかく塩を焚き上げるためには大量の木材が必要になります。この木材確保が重要ですね」
なるほど。始めた当初は木材を集めるのが一苦労だったそうです。また、ただ集めるだけでなく、燃やす炉に入るように切断したり、割ったりする作業が必要です。
「それじゃ、中に入りましょうか?」
扉を開けて入ると登り窯のように作れられた3段の釜があります。
「オーッ!」
大きな3段の釜を前に、思わず、川辺さん親子が声をあげます。
半泊湾の海水をポンプを使って貯水タンクに汲み上げ、3段の釜に海水を入れてひたすら煮詰めるのですが、ナント3日間かけるそうです。塩分濃度が17.5度になった段階で別の容器に移し、一晩かけて不純物を沈殿させた濃縮海水をまた釜に戻します。再度、加熱すると徐々に塩が結晶化します。
川辺さん親子が見ているのはこの段階です。
佐藤さんが掬い用のザルを海水の中に入れて、白い塩の結晶を掬(すく)い上げます。
「オーッ!キレイ!」とまた、声があがります。
レンガ造りの釜がある建物。ここで釜に火を入れます。
佐藤さんが塩の結晶を掬うお手本を。白い結晶にビックリ!
塩釜の海水の中には、塩の結晶が沈殿しているのが見えます。
「掬ってみる?」
颯真くんが、トップバッターで挑戦。片手で海水の中に掬い用のザルを入れて、上げようとすると・・
「めっちゃ、重い!」
どうやら海水を含んでいるので相当重いようです。
やっとのことで掬い上げたら別のザルに入れます。
お姉ちゃんとお母さんも初めての塩掬いを体験。こんな大量の塩を見たのは初めてとあって、興奮気味です。
まずは颯真くんが塩を掬います。
海水を含んでいるので結構重い!
お姉ちゃんも体験!こんな大量の塩を見たのは初めてです。
ザルにあげた塩の結晶をジッと見ていた颯真くん、
「結晶がデカイ!」と初めて見る手作り塩の結晶に驚いています。
塩作りはこの後、水分を切ってパレットに移し、1日から〜3日かけて天日干しで自然乾燥させます。
乾いたら異物などを取り除き、パッケージング。海水から塩を作るのに大変な時間がかかっているのがわかります。
釜に火を入れるというので、颯真くんもお手伝い。材木を釜まで運び、紙に火をつけ木が良く燃えるようにします。
火は絶やしたらダメだからね。塩作りの大変さが少しはわかったかな?
塩の結晶がデカイ!ように思えるのは気のせい?
颯真くんが、塩の焚き上げのお手伝いをします。
紙に火をつけて、木が良く燃えるように工夫します。
佐藤さんが、おにぎり、それと、お刺身、魚の塩焼きを用意してくれました。
「おにぎりには塩が付いているけど、足りなければちょっとつけて。お刺身も普通は醤油だけど、塩で食べてもおいしいよ」
颯真くんは、おにぎりに塩をつけていただきます。
「普通の塩となんだか違う!でも、おいしい!」と驚いています。
市販の塩とはなんだか違うおいしさ−しいていえば優しい味わいとでもいうのでしょうか。
お母さん、お姉ちゃんも、お刺身と塩焼きに舌鼓!
「さとうのしお」は、ネット販売か直接、半泊まで来た方でないと手に入らないそうです。
佐藤さんは、美しい半泊湾の海を眺め、ゆったりした時間が過ごせるよう「コッテージ・スモーキィ」も経営されていて、宿泊しながらの塩作り体験などもできます。
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文・写真 取材ディレクター 中尾知徳
佐藤さんが用意してくれたおにぎりとお刺身。塩をつけていただきます。
「普通の塩と何だか違う!でも、おいしい!」と颯真くん。
体験料金は、『長崎しま旅 わくわく乗船券』でお支払いしました。
掲載日:
2019/07/24
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〒853-0054 長崎県五島市戸岐町1224番地