「祈りの丘絵本美術館」は大浦天主堂やグラバー園などがある長崎市の南山手に建てられた美術館。日本が鎖国の時も西洋の国と唯一交易を許されていた長崎。そして西洋の国の一つであるイギリスで生まれた絵本。この2つを結び付けて作られたのが祈りの丘絵本美術館です。瓦ぶきの屋根とレンガ造りの洋風な建物は、まるで童話の世界の建物のよう。思わず足を運び入れたくなるようなステキな外観。早速中に入ってみましょう。
©祈りの丘絵本美術館
童話の世界のような祈りの丘絵本美術館の外観
©長崎県観光連盟
煉瓦の塀と石畳が西洋的
©祈りの丘絵本美術館
祈りの丘絵本美術館の建物の前に建てられたクマと子どもの像
1階は「童話館」。ここは子ども向けの本を売っているお店です。なんと1万冊以上の本が置かれているんですよ!この本屋さん、最初は長崎市の中心街にあったのですが、祈りの丘絵本美術館ができた1999年に美術館の1階に移ってきました。
置かれている本は新刊ばかりでなく、昔出版され人気のあった本や、名作と言われる本など厳選された子どもの本が並びます。お父さんお母さんが見るとなつかしくなるような本も置いてあるんですよ。
このフロアーにはポスターやカード、またヨーロッパで愛好されているおもちゃなどを置いているコーナーもあります。
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子どもの本の店「童話館」
©祈りの丘絵本美術館
童話館には10,000冊以上の本が並んでいます。
©祈りの丘絵本美術館
おもちゃやグッズを売っているコーナー
祈りの丘絵本美術館の2階は展覧会場になっています。ここは常設展と企画展の会場になっていますが、同時に絵本の原画も展示しています。日本国内の作品だけでなく海外の作品もあります。絵本に使われる絵はお話と一緒になった時に素晴らしい世界観を作り出してくれます。この展示会場では、そのように芸術性の高い原画を展示しています。
また、このフロアーには選び抜かれた絵本を置いてあるコーナーと集いのコーナーもあります。
©祈りの丘絵本美術館
2階の絵本の原画展示エリア
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集いのコーナー。奥には厳選された絵本が展示されています。
常設展では、画家の大道あやさんの絵を展示しています。大道さんは広島出身。絵を描き始めたのは60歳というのですから驚きです。101歳で亡くなるまで鳥や猫、花など身近なものをモチーフにした絵を描き、女流画家協会展や院展にも出品して入選しています。祈りの丘絵本美術館には日本画の「びわの木の下」「めしどき」と絵本の中の絵「ねこのごんごん」「花のうた」が展示されています。また2階大フロア に展示されている東平哲弥さんの大作「春の日の夕暮れの長崎港」もお見逃しなく!
©祈りの丘絵本美術館
常設展で展示されている大道あやさんの作品
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画家の大道あやさん
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東平哲弥さんの作品「春の日の夕暮れの長崎港」
祈りの丘絵本美術館のもう一つの展覧「企画展」では期間を限定していろいろな作品を展示しています。例えば2019年2月26日から5月26日までは、祈りの丘絵本美術館の開館20周年を記念して、長崎在住の絵本作家長谷川集平さんの絵を展示します。題して「サルコーデ・ナガサキ」(サルコーデは長崎弁で「歩こうよ」の意味です。)この長谷川さんの展示会は「長崎と人」というテーマの下に、季節ごとに展示内容を変えながら1年を通して行われます。最初は「第一楽章」として春をテーマにした展示を行います。
メルヘンの世界に入っていくようなステキでユニークな建物の中にある祈りの丘絵本美術館。子どもの本がたくさん置かれ温かさに溢れた美術館です。ぜひ訪ねて自分の好きな本を見つけ、絵本の世界に浸ってみましょう。
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。
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吹き抜けから見た祈りの丘絵本美術館
©祈りの丘絵本美術館
これまでに開かれた企画展のポスター
©祈りの丘絵本美術館
2019年2月26日から開かれる企画展のポスター
掲載日:
2019/02/26
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
〒850-0931 長崎県長崎市南山手町2-10