雲仙市小浜町の刈水(かりみず)地区にアイアカネ工房はあります。庭には藍や綿が育てられ、また、周辺の自然から得た植物を利用して、工房を運営している鈴木てるみさんは“紡ぐ、染める、織る”を実践されています。
藍染め体験は、藍の生の葉を使って染める「生葉染め」。染めの作業に使うエプロンやゴム手袋は用意してもらえるので、気軽に参加できます。
咲来さんはストールを、奨蔵くんはバッグ、秀蔵くんはTシャツを染めることにしました。
アイアカネ工房の庭には、藍をはじめキウイ、梅などの植物が育てられています。
藍染めの指導をしていただいた鈴木てるみさんです。
藍染めの素材にはバッグ、Tシャツ、ストールなどが選べます。
「今、素材は色がついてないよね?そのまま、何もしないで染めてもいいし、模様をつけてもいいよ。どうする?」と鈴木さん。三人は考えて模様をつける方を選びました。「それじゃ、模様をつけたいところに印をつけて。カッコよくしようと思ったら、ここが一番大事よ。それから印のあるところの生地の裏にビー玉を置いて、上から輪ゴムで絞ってごらん」。鈴木さんの手本を見ながら、大きなビー玉や小さいビー玉を好きな場所にデザインします。円いビー玉を輪ゴムで縛るのは結構難しく、お父さんとお母さんも手伝います。
ビー玉をつけ終わったら、水が入ったバケツで水洗い。目には見えない油などを取るためだって。「じゃあ、100回数えて揉み洗い!」と鈴木さん。エーッ、100回も?でも、こどもたちは、楽しげに「1、2、3・・」と声を合わせて数えます。
模様をつけるために、ビー玉と輪ゴムを使います。
奨蔵くん、どんな模様になるのかな?
さあ、水洗い。100回揉まなくっちゃ。
水洗いが終わったら、そのままバケツの中に15分ほど、置いておきます。その間に、庭の畑で藍の葉を刈り取ります。「できるだけこうやって下の方から切ってね」と鈴木さんがハサミでパチン、パチン。こどもたちも、手にかかえきれないくらい、たくさん刈り取りました。
刈り取った藍は、茎と葉に分けて葉だけを使います。「藍じゃない他の草が入らないように注意して分けてね」。お父さんとお母さんも加わって、ひたすら茎と葉を分けます。
庭で育てられている藍
ハサミで茎の下から刈り取ります。
刈り取った藍は、茎と葉に分けます。
ボウルいっぱいになった葉をミキサーに入れ、それに水を加えて、攪拌します。ミキサーの中には緑の液体が。まるで緑のジュースみたい、と思ったら、鈴木さんが秀蔵くんにいたずらっぽく声をかけます。「秀蔵くん、舐めてみる?」。恐る恐る秀蔵くんが舐めると・・。「おいしい?」。笑って秀蔵くんがうなずきます。藍って食べられるんだ!「藍は昔から薬草としても使われていたくらい、健康にもいいのよ」。へー、そうなんだ。
ちなみにアイアカネ工房では、「食べる藍」シリーズとして、藍の乾燥粉末をベースにしたお茶、塩、ふりかけなどを販売しているそうです。
さあ、できあがった染め液に素材をつけます。手に色がつかないよう箸を使って、つける時間は10分。ちょっと長いなあ〜と思っていると、「奨蔵くん、バッグは何に使うの?」と鈴木さんが飽きさせないようこどもたちに話しかけます。
藍の葉に水を加えてミキサーにかけます。
できあがった染め液に素材をつけます。
箸を使って10分間つけます。鈴木さんとの話も楽しい〜。
染めが終わった素材を干します。「ほら、色が変わっていくでしょ?」本当だ!干している間に緑から青に色が変わっていきます。不思議だね。乾くのを待つ間に、庭にある竹林を散策したり、バッタなどの小さい生き物を見つけたり、親子で楽しんでいます。
15分ほど経ったら、干していた素材を下ろし、ビー玉を外します。ビー玉のあったところは円く白い模様がついています。水洗いしてもう一度、干します。乾燥してしまえば、これで完成!素敵なストール、バッグ、Tシャツのできあがりです。手に取ったこどもたちは、もちろん、笑顔!
3時間ほどの「藍染め体験」は、楽しいだけでなく、自然や植物の不思議さ、大切さを知ることができる体験でもありました。
アイアカネ工房では、「紡の体験教」や「織りの体験教室」など、好みや時間に合わせた体験教室を実施しています。ぜひ、参加してみてください。
文・写真 中尾知徳
染めが終わった素材を干す間に、色が変わっていきます。
ビー玉の絞りをとって、水洗いします。
もう一度干して、乾燥させればできあがり。
掲載日:
2018/09/26
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