大村市の市街地から佐賀県に向かう国道444号(通称しあわせ街道)を車で走ると、自然豊かな萱瀬(かやぜ)地区に入ります。この萱瀬地区の中岳町に2019年にできた「いすといすと」は、天然染料染物店。古い民家を改装した店内には素敵な衣服や雑貨がズラリ!
「いすといすと」を営む田代照幸さん・徳子さんご夫妻は、「どの時代でも、色褪せることの無い、飽きのこないデザイン」をコンセプトとして草木染めにこだわっています。
草木染めは、もともとは植物を煮出してできた色素を使用して染めること。デザインから生地と糸を選んで縫製、さらに染色まで行って生み出されたアイテムは、独特の優しい風合いを持っています。
百衣さん家族は今回、藍染めとベンガラ染めに挑戦します。
古い民家を改装した大村市萱瀬地区の中岳町にある「いすといすと」です。
百衣さん家族を迎えてくれた田代照幸さん・徳子さんご夫妻です。
お店の中には、素敵な衣服や雑貨がズラリ!
染め体験はお店の隣にある工房で行います。
まずは染める素材選び。お父さんと洸桜くんはTシャツ、お母さんはショール、おじいちゃんは手ぬぐいを選びました。
「今日は絞り染めという方法で染めます。使うのは、輪ゴム、ビー球、フィルムケースの三つ。好きな場所に好きなように使ってください」
好きなようにといわれても・・、百衣さん家族は、みんなどうしようかと思案顔。
「大丈夫です!絞り染めはどんなにしても味が出ますから」と照幸さん。
それを聞いて、安心したように手を動かします。
絞り染めの基本ともいえるのがビー球を輪ゴムで絞る方法です。強く絞るとカッチリと、ゆるく絞るとぼんやりした模様が円形につきます。
今回は絞り染めの技法で。使うのは輪ゴム、ビー球、フィルムケースです。
自分が好きな場所に好きな方法でデザインしていきます。
絞り染めの基本とも言えるのがビー球を輪ゴムで絞る方法です。
フィルムケースを使うときは、筒の部分を生地の内側にして蓋を外側からかぶせ、輪ゴムで留めます。
洸桜くんは、照幸さんに手伝ってもらってフィルムケースをなんとかセット。
「ちょっと難しいけど、ビー玉などを入れずに輪ゴムだけ絞ると白い線のようになっていいんですよ」とお母さんは徳子さんからアドバイスをもらいながら模様を考えます。
「ああ、たくさん模様をつけたくなっちゃう!」
「絞り染めのいいところは、失敗がないところ。たまに、お客様が私たちでも考えつかないような模様を出して、教えてもらったりすることもあるんですよ」
田代さん夫妻の話に励まされて、さらに熱中する百衣さん家族ですが、お母さんがポツリと一言。
「夢中になりすぎて沈黙しちゃいますね」
みんな笑いながらうなずきます。
10分ほどで、それぞれの作業は終了。下準備はこれでOK!どんな模様になるのかな、ワクワクするね。
みんなの素材を徳子さんが受け取り、鍋で湯煎します。これは素材についている油分などの不純物を落とすためだそうです。
お母さんは徳子さんのアドバイスを受けながら模様を考えます。
どんな模様になるのかな?ワクワクするね!
徳子さんが素材を鍋で湯煎し、油分などを落とします。
さあ、染めに入りましょう!
洸桜くんとおじいちゃんは、藍染めです。
照幸さんの手本を見た後、大きなタルにたっぷりと入った藍液に素材をつけます。
白い素材が瞬く間に染まります。
「つけたらいろんなところを揉むようにして!そうそう!液からあげないようにしてね」
洸桜くんは初めてにしては手つきが良いい!
「前からずっとやってるみたいだよ」と褒められています。
液の中で満遍なく揉み続けます。
「じゃあ、そろそろ上げてみようか?」
照幸さんに言われて液から上げると、緑色に染まっていたのが、空気に触れて青くなっていきます
不思議!
「これでもいいんだけど、もっと青くするんだったら何回かやらないといけないね。どうする?」
しばらく考えていた洸桜くんは、「じゃあ、これで・・」と言います。
「エー!?もう1回しようよ」とみんなに促されて、「それじゃあ」ともう1回トライ!
ザブンと液に漬け込みます。
洸桜くんとおじいちゃんは藍染めです。
液に素材をつけて、揉みます。
液から上げると緑から青に変わっていきます。不思議!
お父さんとお母さんはベンガラ染めです。
ベンガラは自然素材の土を原料としたもの。
徳子さんがベンガラの液を洗面器の水に溶かします。
お母さんはレンガ色の、お父さんは紫色の液を選び、素材を揉み始めます。
「ベンガラは素材が色を吸う感じですね。揉み込む、刷り込むようにしてください、液の色が透明になるまで続けてください」
ときどき、筆をつかって細かいところまで刷り込みます。
揉み続けていると確かに液の色が透明になっていきます。
徳子さんがベンガラの液を洗面器の水に溶かします。
お父さんとお母さんがベンガラ染めをします。
ベンガラの色を吸って液が透明になるまでしっかりと揉み込みます。
みんなの作業が終わったら、照幸さんが洗濯機を使って脱水し、洗面器にそれぞれの素材を入れます。
「さあ、しばっていた輪ゴムをほどいてください!」
みんなで輪ゴムをほどきます。
「うわあ!」と洸桜くん。しっとりとした青色のTシャツのところどころにおシャレな白い模様が見えます。
特に袖のところがお気に入りのよう。
「最初はできないかと思ったけど、できたら感動しました!」
おじいちゃんの藍染め手ぬぐいも素敵です。
ベンガラ染めのお父さんのTシャツ、お母さんのショールもいい色あいに仕上がっています。
徳子さんの「絞り染めに失敗はありません!」を実感!
「いすといすと」では、工房での染め体験以外にも、団体向けの出張ワークショップも行い、好評だそうです。
また、お持ちの衣類を預かって染め直すリメイク染めも行っているそうですよ。
ネットショップも充実しているので、一度、「いすといすと」のホームページを覗いてみてはいかがでしょう?
文・写真 取材ディレクター 中尾知徳
脱水して洗面器に入れられた素材です。
しばっていた輪ゴムをほどきます。ドキドキするね!
洸桜くんのオリジナルTシャツ!模様がオシャレです。
掲載日:
2020/03/18
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〒856-0013 長崎県大村市中岳町1426