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冒険 507

私たちの飲み水はどこから来るのかな?地域の浄水場を見学してみよう!

「冒険498」でマンホール、「下水道」のことを色々調べていたら、使った水(下水)だけではなく、使う水「上水道」についても知りたいなーと思うようになりました。
私たちが毎日、飲んだり、料理に使ったり、顔を洗ったり、洗濯をしたり、それに学校のプールの水や工場などでもたくさん使っている水はどのようにして水道の蛇口まで届くのでしょうか。長崎市の東長崎浄水場を見学してみましょう。

  • 長崎市田中町にある東長崎浄水場。1999年に完成しました

  • 長崎市内には、ここ東長崎浄水場以外に6つの浄水場があります

  • 建物の入り口にある「水道の水ができるまで」。たくさんの工程があるようですよ

蛇口をひねると当たり前のように安全な飲み水が途切れることなく出てきますが、昔の人たちは井戸や川などの水を汲んで生活に使っていました。しかし、水にばい菌が入っていることで伝染病が起きたりしたことから、川やダムなどから取った水をきれいにして使えるようにする「近代水道」の施設がつくられるようになりました。
長崎市では1891年(明治24)、横浜、函館に次いで全国で3番目となる「近代水道」ができました。また、1982年7月23日の長崎大水害で大きな被害が出たのを受け、長崎県は洪水が起きないようにする機能を持った中尾ダムを造りました。東長崎浄水場は、その中尾ダムと八郎川から取水して、「水道水」をつくっています。

浄水場に届いたダムと川の水はまず、「着水井(ちゃくすいせい)」で水の勢いをしずめ、水量を調整します。
次に「混和池(こんわち)」と呼ばれる水槽で、「ポリ塩化アルミニウム(PAC)」というゴミや汚れを固める性質がある「凝集剤」を加えます。そして、「フロック形成池」で、プロペラのようなものをゆっくり回してかき混ぜていくと、目に見えなかったゴミや汚れがくっつきあって少しずつ大きくなっていきます。

  • 奥のパイプに、ダムや川から取った水が流れています。1時間にだいたい、約550㎥取水しているそうです。

  • 浄水場に到着したばかりの「水」。まだ目に見えない汚れが混ざっています

  • 凝集剤を加えて、ゆっくりかき混ぜていくと、水中に黒い点のように汚れが見えてきました

汚れが目に見えるほど大きくなってきたら、沈殿させたり、ろ過して細かい浮遊物や細菌を取り除くと私たちが飲める水ができあがります。
フロック形成池では黒い汚れが浮かんでいたのに、「薬品沈殿池」を経て、汚れが沈んだ「上澄み」だけを取り出した水はとても澄んでいて、水槽の底までがきれいに見えました。

長崎市では、こうして作られた水道水が1日に11~12万立方メートル(1億2000万リットル)使われています。このうち東長崎浄水場では、日見トンネルから東側、東長崎地域の2万世帯、およそ4万1000人に1日あたり約1万3000立方メートルを送ります。25メートルプールに換算すると30~40杯分なんだそうです。夏は学校のプールに使ったり、暑いので何度もシャワーを浴びたりするから、水の使用量が多いのかな、と予測したのですが、水の使用量は年間を通してそんなに変わらないそうです。
東長崎浄水場のほかにも、市内には手熊・三重・道ノ尾・浦上・本河内・小ケ倉、と全部で7つの浄水場があり、長崎市全域と長与町の一部に水を供給しています。東長崎浄水場は川からの取水が主ですが、そのほかの浄水場は主にダムから取水しています。

  • よーく見ると、水の中に小さな汚れが浮いてきています

  • 沈殿させたり、ろ過したりして、ゴミや汚れ、そして細菌を取り除いて「水道水」ができあがります

  • ここまでくると、とっても澄んだ水

汚れや細菌が取り除かれた水はポンプで、高台にある「配水池」に送られます。浄水場内のポンプ室はゴーゴーと大きな音がしました。
配水池から水道管を通って、みなさんの家の蛇口に水が流れていきます。水道管は市内のそれこそあちらこちらに張りめぐらされているそうです。長崎市の上下水道局のホームページを見ると、どこの浄水場から自分の家に水が送られているか調べることができますので、ぜひ、チェックしてみてください。

一方、取り除かれた汚れが混じった水は、「天日乾燥床」という所に貯めておくと半年ほどで干上がって泥の固まりになります。

  • 浄水場のポンプ室。大きな音がします

  • 東長崎浄水場では1日に1万3000㎥を供給。これは市内全体の給水量の10.2%だそう

  • 満タンに貯めていた水は、半年ほどで干上がって、主に泥が成分の固まりに

ダムや川の水を取るところから、家庭や事業所などに水を送るまで浄水場のすべての仕事を24時間、365日見ているのが「中央監視室」。安全な水を届けられるよう、監視パネルをチェックしています。
その監視室の片隅には金魚の水槽がありました。浄水場で作った水に異常があると、小さな生き物にも影響が出るので、すぐに分かるように飼っているそうです。
また、浄水場では天気や工場などの仕事の予定にあわせて、水の供給量を調整することも大きな仕事なんだそうです。寒波が来てとっても寒くなると水道管が凍って壊れて水漏れがよく起きます。ことし(2023年)1月の寒波の時には、長崎市全体への配水量がその日だけ飛び抜けて増えました。寒波の前には凍結しないように市民に知らせるのとあわせて、水が足りなくならないようにいつもより多めにタンクに水をためて、あらかじめ準備しておくのだそうです。
でも、逆に雨が十分降らず、ダムの水が減って来て「水不足」になることもあって、浄水場の人たちはいつも、天気予報が気になっているそうですよ。

  • 24時間365日、安全な水が届くように見守っています

  • 金魚が元気に泳いでいるのは、安全な水が送られている証拠です

  • 長崎市の日々の配水量の折れ線グラフ(青線は昨年値)。寒波襲来の1月25日、26日は飛び抜けて増量した

長崎市では1人あたり1日に300リットルの水を使っている計算になります(事業所分も含むので、実際にはもう少し減ります)。特にお風呂に使う水が多いそうですが、この一人平均の使用量はここ10年でもほとんど減っていません。浄水場を見学してみると、私たちが毎日、飲む水がいろんな人の手を経て、届けられていることを改めて知りました。どうしたら水を大切に使えるか、あわせて考えたいなーと思いながら浄水場を後にしました。

浄水場の見学は、長崎市の場合、7つ全ての浄水場で可能だとのことですので、興味がある人は、長崎市上下水道局浄水課にお問い合わせください。

  • 青い箱がだいたい1000リットル分。3人家族だと1日にこのぐらいの水を使う計算です

  • 浄水場を案内してくださった村山さん。雨が降るか、降らないか・・・天気予報が気になるそうです

  • 東長崎浄水場には長崎市の水道の歴史に関する資料もあるそうです

写真・文:冒険する長崎事務局

掲載日: 2023/03/24
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
長崎市東長崎浄水場
TEL
095-838-3279(東長崎浄水場)
095-829-1213(見学の申し込みは、長崎市上下水道局浄水課まで)
住所
長崎市田中町608-7

長崎市田中町608-7

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
あり(浄水場に事前に確認してください)
営業時間
*要予約
定休日
*見学は平日のみ
対象年齢
小学生~
料金
無料
アクセス
・長崎自動車道 芒塚ICから車で6分
・JR長崎駅から車で19分
・JR長崎駅から路線バスで29分。「江の浦」行きに乗車し「大曲」で下車、徒歩15分
公式サイト
長崎市│浄水場施設見学について https://www.city.nagasaki.lg.jp/shimin/150000/156000/p007123.html
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