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緑のトンネルを抜けて~旧小浜鉄道跡をドライブしてみよう!

いよいよ、西九州新幹線開業!と期待高まる長崎県内ですが、ことし(2022年)は1872年(明治5年)の鉄道開業から150年目の節目の年。鉄道への注目もぐぐっと高くなりそうです。
特に長崎は、江戸末期の1865年にイギリス人の貿易商トーマス・グラバーが日本で初めて蒸気機関車を走らせた「日本の鉄道発祥の地」として知られています。
そんな鉄道の歴史に興味を持って、色々、調べていると・・・大正から昭和にかけてわずか10数年だけ、小浜温泉周辺で運行していた鉄道があるとわかり、さっそくドライブがてら雲仙市へ出かけてみました。

その鉄道とは・・・その名も、「小浜鉄道」。
1920年(大正9年)に、「温泉軽便鉄道株式会社」、その翌年には「小浜鉄道株式会社」が創立され、1923年(大正12年)に愛野から千々石間に「温泉軽便鉄道」が開通。1927年(昭和2年)には「小浜鉄道」が開通し、愛野から小浜温泉の入り口まで橘湾を望む海岸線沿いなどを蒸気機関車が走りました。
「愛野村」駅から「肥前小浜」駅まで9つの駅があり、「小浜歴史資料館」に展示されていた当時の時刻表を見てみると、約17.3キロの区間を1時間ほどで運行していたようです。

  • 旧小浜鉄道の線路跡。まーっすぐ続いています。

  • 上千々岩駅跡のモニュメント。隣には鉄道の説明や当時の写真も。

  • 「小浜歴史資料館」には古い資料が展示されていて興味深い。これは「時刻表」。

長崎市内から国道251号を雲仙市愛野町へと向かっていると、右手に「ん!?」あれは駅の看板のような・・・というモニュメントが目に飛び込んできました。さらに、愛野展望台から国道57号に入り、千々石商店街を抜け、海岸沿いに進んでいくと、往時をしのばせる鉄道の跡をあちらこちらで見つけることができます。
弧を描く独特の道路の形状、狭い道幅、道路沿いに点在する駅名を記したモニュメント。かつての駅のプラットフォームが残る場所もあり、車を運転しているのに、なんだかシュシュポッポ、と蒸気機関車が走る姿を思い浮かべたくなる、そんなドライブコース。

「上千々岩」駅から「木津の濱」駅間では、車1台がやっと、というぐらい幅が狭いトンネルが続きます。馬の蹄鉄のような形の石積みのトンネル。車の待避所などを利用しながら、行き交います。
さらに、切通しの道の両側に木々の緑、思わず「わぁ!」と声を上げてしまう光景が見えてきます。まさに「緑のトンネル」というネーミングがぴったりのスポット。木漏れ日が美しく、通り抜けるだけなのになんだか、幸せな気持ちになる道路でした。

千々石商店街からのルートを小浜温泉の手前まで、時折、車を停めては海や漁師町を眺めたり、駅のホームに立ってみたりしながら、およそ1時間ほどのドライブを楽しみました。

  • この独特のカーブ。ここを機関車が走っていたのかー。

  • 「緑のトンネル」。木漏れ日がキラキラとして、ほんと、美しかった。

  • 向こうから機関車がやって来そうな・・・そんな古いトンネル。

そして、「車でお出かけ」のいいところは、途中で気になったスポットに立ち寄る楽しみですよね。

千々石町では、近ごろ話題の「オーガニック直売所タネト」(千々石町丙)へ。外観からオシャレ!今までの直売所のイメージとはちょっと違う雰囲気です。一歩、店内に足を踏み入れると・・・米袋がステキなバッグとして使われていたり、販売するお野菜を入れているのはチラシで作った折り箱(プレスチックを使わない、という思いから)など、古いものを使っているのに、何だか逆に新しく感じます。商品の説明の一つ一つから言葉を超えて伝わってくるメッセージにも、はっとさせられました。
いただいたショップカードによると、タネトでは「雲仙市内自家採種の在来種野菜を軸に、野菜はほぼ農薬・化学肥料不使用」とのこと。青々とした葉物や、形はごつごつしているけれど「うまい!みずみずしく濃い!」と札がつけられたきゅうり・・・そして気になるのが大事に読み継がれてきたであろう古本。次はここをちゃんと目的地にしてゆっくり来たいなぁーと思わせるお店でした。

さらに、当初の予定にはなかったのですが・・・ドライブランチは、線路跡の脇にあった「温蒸素味(おんむすび)」(小浜町富津)で、温泉で蒸した鯛とおかゆをいただきました。オープンエアで、目の前には海が広がるロケーション。鯛はいい塩加減で、うちの子もモグモグ・・・「もっともっと!」とたくさん食べてくれました。この日は、強い日差しで暑い一日でしたが、やっぱり木陰は涼しいですね。海から吹く風も心地よく、いい気分転換になりました。

  • 国道57号沿いの「オーガニック直売所タネト」。オシャレで、また行ってみたくなるお店だったー。

  • タネトの店内。一つ一つに生産者のお名前やおいしい食べ方が書いてあり、じっくり読んでしまったよ。

  • 「温蒸素味」の温泉蒸しランチセット。鯛のほか、チキンもありました。

旧小浜鉄道の終着駅は「肥前小浜」。小浜温泉の中心部から2キロも北側にあり、当時、温泉客がタクシーなどに乗り換える必要がありました。折しも、バスや自動車の普及や日中戦争の開始とも重なり、利用客が減少。鉄道は1938年(昭和13年)に廃止となりました。

十数年、という短い期間だけの運行だっただけに、今となれば余計に旅愁や郷愁を誘う鉄道跡。小浜温泉街では、小浜歴史資料館と足湯に寄った後、今度は山側のルートで帰ってみました。海の青さと山の緑を感じる、大人も子どもも楽しいドライブの一日となりました。

  • 千々石海岸を望む。ドライブの帰り道は、山側を通って、こんな絶景を見るのもマル!

  • 旧小浜鉄道の貴重な資料も展示されている小浜歴史資料館は必見。

  • 小浜歴史資料館で再現された当時の駅舎。

文・写真:長崎はな
長崎生まれ。長崎で好きなものは、お刺身、一口餃子、対馬のはちみつ、佐世保バーガー、島原のかんざらし、諫早のうなぎ、チリンチリンアイス・・・。旅好き、食いしん坊が長崎県内をめぐります!

掲載日: 2022/06/30
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。

インフォメーション

スポット名
旧小浜鉄道跡、小浜歴史資料館
TEL
0957-37-3113(雲仙市教育委員会生涯学習課)
住所
【小浜歴史資料館】雲仙市小浜町北本町923-1

【小浜歴史資料館】雲仙市小浜町北本町923-1

※お出かけの際には事前に位置をお調べすることをお勧めいたします。
駐車場情報
【小浜歴史資料館】あり(無料)
営業時間
【小浜歴史資料館】午前9時~午後6時
定休日
【小浜歴史資料館】毎週火曜日、年末年始
対象年齢
全年齢
料金
【小浜歴史資料館】入館料100円(小学生以上)
アクセス
長崎自動車道諫早ICから車で約1時間~1時間30分
【小浜歴史資料館】長崎自動車道諫早ICから車で1時間30分
公式サイト
小浜歴史資料館 / 雲仙市 https://www.city.unzen.nagasaki.jp/kiji0034537/index.html
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