夕闇にほのかに光るホタル。梅雨のころがまさに見ごろで、風のない暖かな日の夜、午後8時から9時ごろ、きれいな水の流れる川の上流辺りではホタルが飛び交う幻想的な風景を見ることができそうです。
長崎市内では、浦上川(川平小学校下付近)、西山木場川、御手水(おちょうず)川、戸根(とね)川などがホタルの観測地となっていて、毎年、生息確認数を記したホタルマップが作られています。佐世保市でも折橋川や木原川などでホタルの目撃情報が寄せられています。また、川棚町の石木川周辺もホタルの乱舞が美しいところです。
さっそく、ホタルを見に行ってみましょう!夜ですので、おうちの人と一緒に、そして、ホタルを驚かせたり、生息地周辺に住んでいる人に迷惑をかけないように十分、気をつけてお出かけください。
©長崎市環境政策課
長崎市通都川のゲンジボタル
©長崎市環境政策課
長崎市戸根川
©長崎市環境政策課
長崎市琴海戸根町の休耕田
ホタルは世界で2000種類が生息しているそうですが、日本でよく知られているのはゲンジボタル。体長数ミリから3センチで、成虫になってわずか1~2週間の命です。光っているのはおしりの部分―「食べられないため」「敵をおどかすため」「繁殖(求愛行動)のため」と、光る理由には色々な説があるようです。ゲンジボタルの場合、光らせながら飛んでいるのはオス、葉に止まっているのはメス。まるで、「ここにいますよ」「ここで飛んでいますよ」とお互いに知らせているようですね。その様子から、ホタルは古くから物語や短歌にも登場していて、ホタルをたくさん集めて恋人の前でそれを広げて見せる、というロマンチックなシーンなどが描かれました。
ちなみに、対馬では朝鮮半島や中国に分布し、日本では唯一対馬にのみ生息する「アキマドボタル」を見ることができます。このホタルは「水生」のゲンジボタルとは違って、「陸生」で9月下旬から10月にかけて近くに小川があるそば畑などでよく見られるそう。中でも対馬の南・豆酘(つつ)崎の遊歩道では、海に突き出した岬で飛ぶちょっと珍しいホタルの姿が見られるとか。もちろん、ゲンジボタルも対馬島内で見られ、中でも厳原町樫根(かしね)・神山地区の佐須川流域のホタルが美しいと有名だそうです。
じーっと静かにしていると、止まっているホタルに近づけるはず。発光する様子や何匹ぐらい飛んでいるのか、観察してみましょう。
©長崎市環境政策課
ゲンジボタル
©長崎市環境政策課
ホタルの生息地周辺の開発や川の水質低下などで年々、その数が少なくなっていましたが、近年、全国各地でホタルが棲める環境づくりへの取り組みが続いています。また、2020年の大雨の影響で石が流れるなど川の状況が変わったり、2021年はサクラの開花や梅雨入りが例年より大幅に早まり、自然環境の変化がホタルにも影響するのではないか、と懸念されました。しかし、「ながさきホタルの会」の飛翔調査では2021年も変わらない数のホタルが観測されていて、会では「去年(2020年)の大雨の影響があるのではと心配していたが、今のところ影響はないのでは」と話しています。自然環境がホタルにどのように影響するのか、これからも継続的な観測の取り組みが必要だということです。
また、去年(2020年)閉校した長崎市旧川平小学校に作られたビオトープでも、ホタルが飛んでいるのを確認しました。長崎市や佐世保市ではホタルの飛翔情報をホームページで募集していますので、みなさんもホタルを見たら、ぜひ、情報をお寄せください!
長崎市などでは5月中旬から6月にかけての短い期間にだけ、見ることができるホタル。
生息地周辺に住んでいる人に迷惑をかけないよう、また、ホタルを驚かさないよう、車のヘッドライトや懐中電灯の光をむやみに当てたりせず、静かに、ほのかな光を見に行ってみましょう!
写真提供:長崎市環境政策課
文・写真 冒険する長崎プロジェクト事務局
掲載日:
2021/06/01
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
【御手水川】長崎市本河内3丁目
【西山木場川】長崎市木場町
【浦上川】長崎市川平町
【通都川】長崎市中里町
【戸根川】長崎市琴海戸根町