小値賀町は五島列島の北にある町です。小値賀島と野崎島、そして周辺の小島がいっしょになって小値賀町を構成しています。いったいどんなものがあるのでしょう。小値賀町の中で1番大きな小値賀島と2番目に大きな野崎島に冒険に行ってみましょう!
まずは小値賀島からです。小値賀島には平地が多いので町が発達し、空港(チャーター便の発着のみ)もあり観光施設も整っています。小値賀島でまず行ってみたいのが海です。島の南部にある船瀬海水浴場では、水泳はもちろん、広々としたビーチがあるのでビーチバレーなどを楽しむことができます。島の北部にある柿の浜海水浴場は、小値賀町で一番透明度の高いビーチ。しかも浅瀬なので小さな子どもでも安心して遊べます。
小値賀島には海水浴場のほかに赤浜海岸という、赤い砂や砂利でできた珍しい海岸があります。昔、この近くに火山があってそこから噴火した火山礫が海岸に溜まったものと考えられています。こうした海岸は海水浴にはあまり適していませんが、ユニークな場所として見学しましょう。
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船瀬海水浴場では広いビーチが広がっているのでビーチバレーが楽しめます。
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小値賀町一透明度が高い柿の浜海水浴場
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昔火山が噴火して赤い砂や砂利が堆積した赤浜海岸
小値賀島に滞在するときには、地元の人が温かく迎えてくれる民泊を利用するのはどうでしょう。民泊はホームステイとも言いますが、旅館や民宿とは違って、地元の人の家に泊まって、その家の人といっしょに食事の準備をしてできあがったものを食べたり、団欒をいっしょに過ごしたりする宿泊形態のことです。民泊をやっているのは漁師の家や農家。どこの家の人も気さくで親切なのですぐに打ち解けて楽しい滞在が体験できるはずです。
小値賀島のもう一つの滞在方法は古民家に泊まることです。ここの古民家は100年以上の歴史を持つ武家屋敷などを宿泊用に改築したもの。家の中のトイレやお風呂場は現代風に作り変えられ使いやすくなっていますが、家の風貌は昔の面影を残しています。小値賀島には古民家が全部で6軒あり、どれもが貸切。タイプによって宿泊できる人数が違います。
宿泊用の古民家とは別に昔の豪邸を改築したレストランもあります。それが「敬承 藤松」です。昔、捕鯨などの仕事をしていた藤松家が住んでいた築180年という古い家を直してレストランとしてオープンしたもの。広い建物内には24人が食事のできる広間と4人または6人で食事のできる個室が4部屋作られています。
民泊も、古民家も、そして古民家レストランも利用するときには、すべて予約が必要です。
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民泊を利用して、地元の人と一緒に食事をしたりして交流しよう。
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小値賀島には宿泊施設として改築した古民家が6軒あります。中は広々しているのでリラックスできます。
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古民家を改築したレストラン「敬承 藤松」
小値賀町の歴史や文化を詳しく知りたいときには、小値賀港から歩いて10分位の所にある小値賀町歴史民俗資料館に行ってみましょう。この資料館は、250年の歴史のある豪商小田家の屋敷を小値賀町が譲り受けて改築したものです。開館は1989年。館内には小田家が使っていた什器や陶磁器、また旧石器時代から近代までの考古資料、そして野崎島のキリシタン関係の資料などが展示されています。
この資料館から北に歩いて20分ほど行くと「姫の松原」と呼ばれる松並木が見えてきます。「日本街路樹百景」に選ばれているこの松並木は、約450メートルに渡って松の木が並び美しい風景を作り出しています。
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昔の豪商小田家の屋敷を改築してオープンした小値賀町歴史民俗資料館
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小値賀町歴史民俗資料館の展示風景
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姫の松原は小値賀町歴史民俗博物館から北に歩いて20分のところにあります。
これまでは小値賀島についていろいろ紹介しましたが、次は小値賀町の2番目に大きな野崎島についてお伝えします。
野崎島は小値賀島とは違って平地がとても少なく島の大部分は山地。そのため島の中央にわずかにある平地に村落が形成され、潜伏キリシタンも住んでいました。ところが、禁教が解かれ、後に高度経済成長の影響もあり、そうした人々もだんだん島外に移住し、一時無人島になってしまいました。ただ今は、島の観光施設を管理する人が住んでいます。
人がほとんどいなくなってしまった野崎島ですが、島の中央エリアにはかつての潜伏キリシタンの村落の跡や教会が残っています。この教会は「旧野首(のくび)教会」と呼ばれ、村落跡と並んで世界遺産の構成資産に認定されています。ここもぜひ訪ねてみてください。
また、村民に代わって島の住人になっているのが野生のシカ。手付かずの自然もたくさん残っているので、ハイキングを楽しむことができます。島ではガイド付きのツアーも用意されているので、予約すれば参加することができます。
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山地の多い野崎島ではハイキングが楽しめます。ツアーにも参加できますよ。
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昔住んでいた野崎島の集落の跡。そうした人々はすべて島外に移住してしまいました。
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人のいなくなった島には野生のシカが繁殖
野崎島には「野崎島自然学塾村」という観光施設があります。島には村落の跡が残っていますが、それを除くと、島にある建造物はこの学塾村と旧野首教会だけです。この学塾村は閉校になった小中学校の校舎を利用して作られたもので、建物内には宿泊施設の他、炊事棟も作られています。また、屋外ではキャンプも楽しめるようになっています。野崎島には休憩できるところがこの自然学塾村にしかないので、ハイキングをする場合にはこの施設を利用して休憩してください。宿泊時の食事は自炊。食材を持ち寄り施設内にある炊事場で調理します。
五島列島の北に位置する小値賀島は発達した有人島で、野崎島は自然に恵まれたほぼ無人島。とても対照的な特徴を持つこの2つの島ではそれぞれユニークな冒険ができます。ぜひ出かけてみてください。
写真提供:長崎県観光連盟
文:Setsuko Truong
メルボルン在住のフリーランスライター。旅とアートが趣味で日本国内・海外あちこち旅してきました。長崎は好きな町の一つ!そんな長崎の魅力をお伝えしたいと思います。
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野崎島自然学塾村の全景。島で唯一休憩や宿泊ができる観光施設です。
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建物内には宿泊施設も整っています。
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大きな調理室があるので、ここで食事の用意ができます。
掲載日:
2019/12/13
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
【おぢかアイランドツーリズム】〒857-4701 長崎県北松浦郡小値賀町笛吹郷2791-13
【レストラン「敬承 藤松」】〒857-4702 長崎県北松浦郡小値賀町前方郷3694
【小値賀町歴史民俗資料館】〒857-4701 長崎県北松浦郡小値賀町笛吹郷字木ノ下1931
【野崎島自然学塾村】〒857-4709 長崎県北松浦郡小値賀町野崎郷