長崎市を見渡せる絶景ポイントの一つ、風頭公園。
その公園の東側の雑木林を抜けると小さな美術館へたどり着きます。
「風の大地美術館」です。
長崎市伊良林在住の画家、ウエダ清人(せいじん)さんが2017年11月にオープン。観光客や地域住民、地元の美術愛好家の憩いの場として開放されています。
今回は、親子でも気軽に立ち寄れる美術館の魅力をたっぷりご紹介します!
風頭公園のグラウンドのフェンスにある道案内。どんな美術館か気になる〜
看板に誘われるようにどんぐり林を20メートルほど進む。トトロが出てきそう!
風通しがよく、緑と調和した美術館入り口。入場無料。
館内は白を基調とした落ち着いた雰囲気。仕切りがなく開放的で自由に作品を鑑賞できます。
全体的に青がベースの作品群。
公立中学校の美術講師だったウエダさん。遺跡発掘調査の経験から「大地」をテーマにした作品を多数手がける一方で、近年は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」にちなんだ平戸の海原や長崎の教会を描いています。
単に目の前の風景を描くのではなく、故郷の思い出や発掘調査で得た経験をまるで詩を綴るかのようにキャンパスに再現するのがウエダさんの持ち味。一つ一つの作品がウエダさんの人生そのものです。どんな思いが込められているのか想像を膨らませてみるのもいいですね。
館内は開放的で白を基調とした空間。ゆったりとした雰囲気。
ウエダ清人さんの作品。「時の旅人」シリーズ。腕を広げる5人の人物が印象的。
©ウエダ清人
「時の旅人」シリーズの中で最大サイズの作品。青と黄色のコントラストが美しい。
©ウエダ清人
ここではウエダさんの作品だけでなく、地元の陶芸家や画家の作品も楽しめます。
私たちが訪れた2019年3月は茂田弘毅さんの陶芸作品が展示されていました。茂田さんは長崎市在住の陶芸家で、2018年には長崎市障碍者アート展で市長賞を受賞しています。
「芸術性が高い茂田さんの作品をきちんとした形で展示したい。」というウエダさんの言葉通り、展示されている茂田さんの作品はどれも個性的で面白く、見たことがないものばかり。展示品は購入も可能です。
地元作家の作品展示・販売コーナー。随時作品は入れ替えています。写真は2019年3月現在の様子。
茂田さんは高校生の頃陶芸を始める。以来、数々の作品展に出品している。
茂田さんの作品。キョトンとした目のフクロウたちがかわいい!
私が作品を鑑賞していると、5歳と8歳の娘はなにやらあるものを発見!奥にある扉に書かれた「どんぐり広場」の文字に興味深々です。
「どんぐり広場ってどんなところ?」
「行ってみた〜い!!」
早速、奥の壁画横にある扉を開けてみると・・・。そこには様々な形状の木の枝が積んであって、その脇にユニークな木工作品が置かれていました。
どんぐり広場という名前は、風頭公園から美術館へ続く小道にあるどんぐり林から付けたとのこと。
ウエダさんはこの広場や美術館内で、夏休みに自治会の要請を受けて子ども向けの絵画教室や木工教室を開催しています。
子ども一人ひとりの個性を大事にしたいという思いから、10人位の小規模で行っているとのことです。少人数なので自分のペースで作品作りができそうですね。※詳しくはHPを。
一番大きな作品横の扉を開けると…そこにはどんぐり広場が待っている。
初めて会う8歳の娘に木で作る作品作りの魅力を解説してくれるウエダさん。
即席の積み木教室!木のぬくもりを感じながら楽しく遊んでいる様子。
「旅行者の休息の場」
「地元作家の作品展示の場」
「子供のアート活動の場」
色々な顔を持つ「風の大地美術館」。その原動力となっているのは、多くの人たちにゆったりとした時間を過ごしてほしい、地域の人や子どもたちに作品作りの場を提供したいと願うウエダさんの情熱に他なりません。
地域のコミュニティーに根差し、長崎を代表するアートを発信し続ける風の大地美術館。親子連れ・カップル・お一人様・・・誰でも気軽に入れる美術館ですのでぜひ一度立ち寄ってみてくださいね。
文・写真 加藤真澄(長崎市南部在住10年目の主婦ライター)
2019年4月現在は「時の旅人」シリーズが絶賛展示中。
地元で活躍する個人芸術家の作品にも出会える美術館。
風頭山山頂近くに位置するので、見晴らしがよく、気持ちいい風を感じられる。
掲載日:
2019/05/09
※掲載している情報は記事公開時点のものです。変更される場合がありますので、お出かけの際には事前に各施設へお問い合わせください。
長崎県長崎市伊良林3-5-2